逮捕されなかったことと報道での呼称
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/11 01:34 UTC 版)
「東池袋自動車暴走死傷事故」の記事における「逮捕されなかったことと報道での呼称」の解説
警察が死傷事故を起こした運転者を現行犯逮捕しなかったことや、報道機関が「容疑者」ではなく、「飯塚さん」という敬称や「飯塚(元)院長」という肩書きで呼称したことについて、「警察やメディアが特別扱いしているのではないか」と批判の声が上がったことが報じられている。加害者の飯塚が元官僚だったことから、インターネットでは飯塚について「『上級国民』だから逮捕されないのか」との書き込みが相次ぎ、拡散された。また、ネット上では本事故と、同月21日に神戸市で発生した神戸市営バスによる交通死亡事故(バスの運転手が現行犯逮捕された事例)が対比されていることも報じられている。捜査関係者は「逮捕しないのは、事故を起こした人物も負傷して入院しており、刑事訴訟規則で定められた逮捕の要件『逃亡や証拠隠滅の恐れがある場合』を満たさないため」「元官僚だったことは事故発生からしばらく経った後に判明したことで、ネット上の批判は当たらない」と説明している。 当時、被疑者である飯塚が「飯塚容疑者」と呼称されていなかった点について、読売新聞は事故当初「警視庁による事情聴取が行われておらず、刑事手続きに入っていない点を考慮して実名+肩書呼称で報道したが、事故の重大性から敬称は使わなかった」と述べたが、同紙は運転手が警視庁から事情聴取を受けたことが判明した2019年5月17日夕刊から「容疑者」と呼称している。またフジニュースネットワーク (FNN) は飯塚が書類送検された11月12日以降、「容疑者」呼称に切り替えている。 このほか、朝日新聞・毎日新聞・東京新聞は実名+敬称で報道したほか、日本経済新聞・産経新聞は匿名で報道した。また西日本新聞は2019年5月3日付朝刊で「逮捕前は敬称や肩書を付けるという明確なルールによるものだ」と説明している。 このような議論が生じたことについて、慶應義塾大学教授・大石裕は「男性(飯塚)が元官僚であったため『警察やマスコミなどがかばい合っている』という見方へと発展して批判が大きくなったのではないか」と述べたほか、立教大学名誉教授・服部孝章(メディア法)は「逮捕されていない段階で『容疑者』とは表現しにくく、肩書呼称にしたことは理解できるが、捜査の進展状況により容疑者呼称に切り替えることを検討しても良いだろう。あえて匿名で報道したり、現行犯同然の状態で敬称を使うことは違和感がある」と指摘した。また弁護士・竹田稔(元東京高裁部総括判事)は「呼称は報道各社の判断だが、社会的地位を示す肩書呼称にすることで社会的関心を集め、高齢ドライバー問題への意識を高めるきっかけになる面はあるだろう」と推測している。
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