特定非営利活動法人輪島朝市
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輪島朝市
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/03 07:27 UTC 版)

輪島朝市(わじまあさいち)は、石川県輪島市朝市通りで開かれる朝市。千葉県勝浦市の勝浦朝市、岐阜県高山市の宮川朝市と並ぶ、日本三大朝市の一つである[1]。
2024年(令和6年)1月1日に発生した能登半島地震後の大規模火災で開催場所が失われ、市内で再開が模索されている[2]ほか、石川県外を含めて各地で出張輪島朝市が開催されている[3]。
概要
「朝市通り」と呼ばれる通りのうち約360メートルを利用して開催されてきた朝市で、沿道に店舗を構える本町商店街と共存する珍しい道路の活用形態をとってきた[4]。毎朝8時(第2水曜日と第4水曜日、正月三が日を除く)から海産物や野菜、輪島塗をはじめとした民芸品を扱う多くの露店が立ち並んだ[5]。
しかし、2024年(令和)1月1日の能登半島地震後の大規模火災で開催場所が失われた[2]。
営業再開については、朝市通りや別の路上で営業を再開する案のほか、朝市通り周辺の再整備には長期間かかる見通しであることから輪島港近くの市有地に大型テントを設営して移転開催する案が出ている[2]。
一方、震災後、「出張輪島朝市」を全国各地で開催している[3]。各催事ごとの今後の出店者は「出張輪島朝市」公式サイトの「イベント情報」から確認できる。
輪島市朝市組合によると、2025年(令和7年)6月時点、ヤスサキ運営のワイプラザ輪島内で31店40人、石川県金沢市など輪島市外で10人以上が出張朝市として出店しているものの、営業を再開できていない露店主も多い[2]。
歴史
平安時代から続く朝市で、神社の祭礼日などに生産物を持ち寄って、物々交換し合っていたのが始まりといわれている。室町時代には毎月4と9の付く日に開催されるようになり、明治時代に毎日開催されるようになって現在に至る[6]。
1961年(昭和36年)、輪島市が松本清張の小説を原作にした映画『ゼロの焦点』のロケ地となり、同映画がヒットすると多くの観光客が訪れるようになった、この頃から朝市の客層は地元住民に観光客も加わり始め観光名所化していく。1980年(昭和55年)のビーク時の訪問者数は約270万人を記録した[7]。その後、観光客は落ち込みを見せたが、2015年(平成27年)にNHKの連続テレビ小説『まれ』の舞台として再び脚光を浴びると、海外からのインバウンド需要もあり、年間50万-80万人ほど観光客が訪れ再び賑わいを見せるようになった。しかし、2020年(令和2年)に新型コロナウイルス感染症が拡大すると観光バスのツアー客は激減。2020年度の訪問者数は約15万人にとどまった。減少幅を広げた要因の一つとして、朝市の客層の8割から9割が県外からの観光バスのツアー客であったことが挙がっている[8]。

新型コロナウイルス感染症の影響が一段落した2024年(令和6年)1月1日16時10分ごろ、能登半島地震が発生。この時点で多くの建物に被害が発生しており、更に同日18時ごろに「朝市通り」南側の店舗周辺から出火。現地で救助活動などを行っていた消防隊が直ちに消火活動に当たったが、地震による断水で消火栓が使えない、西側を流れる河原田川の水位が極端に下がり取水できない、大津波警報の発令や道路の寸断により近隣の消防隊が消火活動に加わることができないなど悪条件が重なり[9][10]、翌1月2日午前に鎮圧宣言が発表されるまでの[11][12]焼失面積は約5万800平方メートル、約300棟が焼損した[13]。火災後、警察により行方不明者の捜索が行われ、1月9日からは改めて100人規模の体制で一斉捜索を開始[14]。1月14日までに焼失箇所の90%近くの捜索を行った[15]。焼け跡では2024年(令和6年)6月4日に建物の公費解体が始まった[16]。
2025年(令和7年)5月には輪島朝市組合に輪島朝市復興協議会が設置された[2]。
脚注
- ^ “勝浦朝市 日本三大朝市”. 勝浦市観光商工課観光係 (2012年12月11日). 2024年1月16日閲覧。
- ^ a b c d e “輪島朝市に移転案 港近くの市有地に 全組合員に意向調査”. 北國新聞DIGITAL (2025年6月6日). 2025年6月6日閲覧。
- ^ a b 出張輪島朝市 輪島朝市を応援する会(2025年8月3日閲覧)
- ^ 宋 静雯「朝市の店舗配置」『お茶の水地理』第48巻、お茶の水女子大学、111-113頁。
- ^ “輪島朝市”. 能登輪島観光情報ポータルサイト. 2024年1月16日閲覧。
- ^ 輪島の朝市[リンク切れ]輪島市役所
- ^ “輪島朝市の歴史”. 輪島市朝市組合. 2024年1月16日閲覧。
- ^ “輪島朝市 戻らぬにぎわい 存続危ぶむ声も 石川”. 朝日新聞DIGITAL (2021年6月24日). 2024年1月16日閲覧。
- ^ “輪島市の火災 “大津波警報で初期消火できず拡大か” 専門家”. NHK (2024年1月6日). 2024年1月16日閲覧。
- ^ “石川 輪島 大規模火災 火元は朝市通り南側 “断水で消火難航””. NHK (2024年1月4日). 2024年1月16日閲覧。
- ^ 【動画】石川 輪島「朝市通り」周辺で火災 約200棟焼けたか NHK NEWS WEB(2024年1月2日)
- ^ 輪島の大規模火災は鎮圧 観光名所「朝市通り」周辺 産経新聞ニュース(2024年1月2日)
- ^ “輪島朝市の火災、焼失5万800平方メートル 国総研が調査”. 日本経済新聞 (2023年1月15日). 2024年1月16日閲覧。
- ^ “百人体制で一斉捜索”. 日テレNEWS (2024年1月9日). 2024年1月16日閲覧。
- ^ “数カ所で発見 輪島の朝市通り”. 日テレNEWS (2024年1月14日). 2024年1月16日閲覧。
- ^ 被災5カ月…輪島朝市の公費解体開始店側の「同意」に時間『朝日新聞』朝刊2024年6月5日(社会・総合面)
外部リンク
- 輪島朝市組合
- 輪島朝市商店街情報サイト - 輪島市本町商店街振興組合
座標: 北緯37度23分47.2秒 東経136度54分7.2秒 / 北緯37.396444度 東経136.902000度
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