警察への批判
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 14:59 UTC 版)
Oに逃走され自殺を許した警察の失敗は、社会の批判を浴びた。当時は同時期に発覚した新潟少女監禁事件への対応など、相次ぐ不祥事により警察への社会的不信感が募っていた時期でもあり、京都府警でも1998年(平成10年)7月に銃器対策課次席の現職警部が、銃身や弾倉などの短銃部品を国内へ密輸して逮捕、懲戒処分を受ける不祥事が起ったほか、1999年(平成11年)1月20日には五条警察署警部課警部補が貴金属販売業者から現金や商品券を受け取っていた収賄容疑で逮捕され、懲戒免職となる不祥事も発生。同年夏には巡査部長など2人の覚醒剤所持が発覚し、監督責任を問われるなどして当時の府警史上最大の23人が処分される事態ともなった。また、本児童殺害事件の捜査終結前の、2000年(平成12年)3月15日にも、同月10日に知り合いの女性に乱暴したとして、府警暴力団対策第一課巡査部長が婦女暴行致傷により逮捕され、懲戒免職処分を受けている。 こうした中で起った犯人の取り逃がしに、『読売新聞』は社説で任意での取り調べに限界があることに理解を示しつつも、「警察の努力も最後の詰めを欠いたと言わざるを得ない」「数時間も一緒にいながら他に適切な手立てが取れなかったか」「もっと早く自宅の捜索を行っていれば新たな展開が望めたかもしれない」と述べている。また、元最高検検事である帝京大学の土本武司教授(刑事訴訟法)は、自宅で1時間以上説得した時点で、任意捜査は限界に達していたとし、速やかに強制捜査に切り替えることや、現場の判断で緊急逮捕する判断が必要だったと批判し、「日本の警察には、組織の指示系統を重視し、現場に判断をさせないきらいがある」と指摘した。元東京地検特捜部長である弁護士の河上和雄は、捜索令状と逮捕令状の両方を取り、相手が任意同行に応じない場合は逮捕状を執行するという手順を踏むべきであったとし、「6人も捜査員を配置して逃げられたというのは、捜査のプロとしては抜けていると言わざるを得ない」と批判した。 一方で警察庁刑事企画課は『朝日新聞』の取材に対し、逮捕令状なしで強制的に身柄を拘束することは違法逮捕であり、緊急逮捕の要件を満たすと認めることも困難であったと聞いているため、府警はできる限りのことはしたと認識しているという旨を回答した上で、十分に検証し今後の捜査に活かしていく必要性について述べてもいる。
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