警察の行動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 06:55 UTC 版)
「テキサスタワー乱射事件」の記事における「警察の行動」の解説
一部の人は、銃声を近くの工事現場の騒音と勘違いした。地面に倒れる人を見て、劇団のパフォーマンスだろうと思った人や反戦を訴える抗議活動だろうと思った人もいた。ある被害者は血を流して倒れていたところを、演技と思われたのか通りすがりの人に叱責されて、起きろと言われた。状況を把握した人々の中には、自らの危険を顧みずに負傷者を安全なところへ連れて行った人もいた。現金輸送車や地元の葬儀屋からの傷病人搬送車が、負傷者に接近するための手段として利用された。 ホイットマンが時計塔から銃撃を始めてから4分後の午前11時52分、歴史学教授がオースティン警察署(英語版)に最初の通報を行った。巡査のビリー・スピードは最初に現場に到着した警察官の1人であり、同僚の1人とともにバラスターを遮蔽にした。しかし、ホイットマンの銃弾がバラスターの間の15センチメートルほどの隙間を抜けてスピードに命中した。これによりスピードは死亡した。 警察官のヒューストン・マッコイ (英: Houston McCoy、当時26歳) は無線機から銃撃についての話を聞いた。時計塔への道を探していたところ、学生が助けを求めに現れて、自宅にライフルがあると伝えた。マッコイは学生を車で家まで送り届け、ライフルを借りた。 アラン・クラム (英: Allen Crum、当時40歳) はかつては空軍の尾部銃手であり、事件当時は大学生協の書店の店長だった。通りの向こうで17歳の新聞配達の少年が引きずられているのを見て喧嘩だと思い、やめさせようとした。しかし、少年は撃たれたことを知り、銃声も聞こえたため、通りを歩く人々を危険のない場所へ誘導した。安全に書店に戻ることができなくなったため、時計塔の方へ進んだ。時計塔に着いた後、警察に助力を申し出た。時計塔の中では、公安局のダブ・コーワン (英: Dub Cowan) とオースティン警察のジェリー・デイ (英: Jerry Day) に同行してエレベータに乗った。コーワンはクラムにライフルを渡した。 午後12時ごろ、警察官のラミロ・"レイ"・マルティネス(英語版) (英: Ramiro "Ray" Martinez) は非番で自宅にいたが、ニュースで事件のことを知った。警察署に電話をすると、キャンパスに行って人々を誘導するように指示を受けた。現場に着くと、既に他の警察官たちが誘導を行っていたため、時計塔に向かった。時計塔には警察官のチームがいるだろうと思っていたが、27階に着くと、そこにいたのはコーワン、クラム、デイの3人だけだった。 時計塔に向かおうとした警察官たちは、身を隠しつつの遅々とした移動を迫られた。しかし、ヒューストン・マッコイを含む少数の警察官たちが、地下にあるメンテナンス用のトンネルを通じて時計塔に辿り着くことができた。警察官たちや数名の市民は、小火器や狩猟用ライフルを使って地上からの制圧射撃を試みた。ホイットマンは射撃をかわすために身を屈め、展望デッキの壁の根本にあった排水孔から発砲した。軽飛行機に乗った警察の狙撃手はホイットマンに撃ち返されて撃退された。それでも、距離をとって旋回を続けて、ホイットマンの邪魔をしつつ、標的を選ぶ余裕を奪おうとした。 マルティネス、クラム、デイは27階を捜索し、M・J・ガボーを発見した。デイがガボーを移動させた。マルティネスは階段を上って展望デッキへ向かった。クラムはマルティネスを援護したいと強く申し出て、最初は自分が代理になることを買って出た。 受付エリアへ繋がる階段吹抜の下で、マルティネスはマーガレット・ランポート、マーク・ガボー、メアリー・ガボー、マイク・ガボーを発見した。マイク・ガボーは展望デッキの方を指して、犯人がそこにいることを伝えた。 マルティネスが最初に展望デッキに到着した。マルティネスはクラムにドアの元に留まるように伝えた。数分後にマッコイとデイも展望デッキについた。ある時点でクラムがライフルを誤射した。 午後1時24分ごろ、ホイットマンがライフルがどこから発砲されたか探そうと南の方を探していた。一方で、マルティネスとマッコイは展望デッキの北東の角を曲がっていた。マルティネスが躍り出て、ホイットマンの方に向けてリボルバーを発砲したが、すべて外した。マルティネスが発砲しているところを、マッコイが飛び出て、ライトバラストを見ているホイットマンの頭を目撃した。マッコイはライトバラストのてっぺんに向けて撃った。いくつかの散弾がホイットマンの眉間に命中し、ホイットマンは即死した。マッコイは再び発砲し、弾丸はホイットマンの左半身に当たった。マルティネスはマッコイの散弾銃を握り、うつぶせになったホイットマンの元へ走り寄り、ホイットマンの左腕に散弾銃の直射を浴びせた。そのすぐ後に、マルティネスは地上の人々から危うく銃撃を浴びせられかけた。地上の人はホイットマンの死に気づいていなかったのであった。
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