誤用の例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/24 18:53 UTC 版)
日本語などの場合では、漢字で表現される言葉が多く、表意文字として漢字自体に固有な意味があるので、二つ以上の漢字からなる言葉について、個々の漢字の意味から類推して言葉の意味を理解する、あるいは想定するということがあり、正しい理解になる場合と、間違った理解になって誤用を導くことがある。例えば、近年「性癖」という言葉を、「性的な癖」と考えて、性的嗜好の意味で使う誤用が生じているが、これは漢字の意味から類推して間違った意味理解が生じたのだと考えられる(性癖とは、癖と同じ意味の言葉である)。 英語やフランス語などでも、ラテン語やギリシア語などから来る、「接頭語+語幹+接尾語」というような形で単語が構成されていることがあり、ここから複雑な単語の意味を類推することが可能であるが、このような方法がうまく行く場合もあれば、意味の取り違え、誤用となる場合がある。例えば、defuse と diffuse は、前者は、de + fuse で、後者は、dis + fuse であるが、接頭辞が同じラテン語起源で似たような意味であっても、英語では同じ綴りになる「fuse」が語源的には別の意味の言葉である。発音的にも「ディフューズ」のような音で、後ろの「フューズ」にアクセントがあるため、両者の混同が生じ、誤用となっているという例がある。 また古典的な例で、意図的な造語であり、かつ現在では誤用でないが、語源了解で誤解の起こり得る言葉に、トマス・モアが造語した Utopia(ユートピア)がある。これは元々は、「ou + topos + ia」で、「存在しない場所」の意味であるが、ギリシア語の接頭辞に「良い」を意味する eu があり、発音においては、英語ではどちらも「ユー」のような音の為、Utopia を、EUtopia と解釈して、意味的に間違いではないが語源的には勘違いを誘導していることがある(ユートピアは「理想郷」という意味に理解され、「良い場所=eu+topia」がこの解釈に合致する)。トマス・モア自身が、冗談で Eutopia という言葉をこの作品の序詩において示唆しているので、余計に間違いが起こりやすい。
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