「聖体礼儀」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/13 00:40 UTC 版)
「正教会の奉神礼・用語体系」の記事における「「聖体礼儀」」の解説
聖体礼儀は、日本正教会の訳語。聖体機密を包含する儀礼であり、西方教会でいう「ミサ」にほぼ相当する(「ほぼ相当」の意味については後述する)。ただし、日本正教会では「ミサ」という語は徹底して避けられ、話し言葉でも文章上の記述でも、専ら「聖体礼儀」が用いられている。 ギリシャ語:Θεία Λειτουργία(シア・リトルギア) ロシア語:Божественная Литургия(ボヂェストヴェンナヤ・リトルギヤ) 英語:Divine Liturgy 「西方教会でいう『ミサ』に相当する」という説明については、現実的に言って、何の注釈もない場合にはあまり精確な説明とは言えない。聖体を中心とする面では東西両教会の「聖体礼儀」「ミサ」ともに共通しているものの、「聖体礼儀」と言えば「正教会:ビザンチン奉神礼の聖体礼儀」を指し、「ミサ」と言えば「カトリック教会:ラテン典礼のミサ」を指すのが、通俗的かつ一般的な使い分けである。 ただし、厳密に言えば正教会にも「西方奉神礼教区」はわずかながら存在しており、カトリック教会にも「東方典礼教区」が存在する以上、このような語法は精確でないとは言える。だが現実問題として「正教会=聖体礼儀=東方奉神礼」・「カトリック教会=ミサ=西方典礼」という通俗的解釈は根強いものがある。しかもその通俗的解釈通りの状況が両教会の圧倒的大部分に該当するため、「厳密には精確ではない」とは言えても「誤用」とまでは言い難い。海外の媒体でも暗黙の了解のうちに「『聖体礼儀リトルギア』=東方典礼の聖体礼儀」「『ミサ』=西方典礼のミサ」の用例が多数を占める。 書籍や市販の輸入聖歌CDなどにみられる「東方正教会のミサ」「ヨハンネス・クリュゾストモスによる神聖な典礼」(この誤訳については下の「誤記・誤用の例」で後述)といった日本正教会の訳語・用語を無視した非正教徒による表記に対して、かなり強い抵抗を示す日本人正教徒は少なくない。近年の中村健之介をはじめとした非正教信徒の研究者などが、「生神女」「聖体礼儀」などの表記を日本正教会訳に則って行いつつあることは、日本正教会の信徒達からはおおむね好意的に受け止められている。 英語圏の海外正教会では、正教会の聖体礼儀が Mass(マス、ミサ)と呼ばれる例も存在するが、ギリシャ語・ロシア語ではそのような用例はない。また英語圏でも Mass と呼ばれる事例は多くない。
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