認知タスク
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/11 14:46 UTC 版)
かつては、認知課題や問題解決の性差は思春期までは起こらないと考えられていた。しかし、2000年の時点では、認知やスキルの違いは発達の早い時期に存在することがエビデンスから示唆されている。例えば、研究者たちは、3歳と4歳の男の子は、同じ年齢の女の子よりも、時計の文字盤の中の数字に着目したり、メンタルローテーションをすることに優れていることが発見されている。一方で、思春期前の女の子は、単語のリストを思い出すことに優れていた。このような認知の性差は、全体的な知能というよりも能力のパターンに対応している。実験室では、大人が行う問題解決タスクにおける性差を系統的に研究するために、実験室の設定が利用されている。 平均して、ある空間的なタスクでは、男性は女性に比べて相対的に優れている。具体的には、物体の回転や操作を必要とするテストでは、男性が有利になる。コンピュータによる迷路課題のシミュレーションでは、男性は女性よりも速く、少ないミス数で課題を完了するさせた。さらに、男性は、投射物を誘導するなどの運動技能のテストで高い精度を示した。また、反応時間や指で叩くテストでも男性の方が速くなっている。 平均して、記憶力を測定するテストでは、女性は男性よりも相対的に優れている。女性は、文字、数字、そして迅速な命名タスクを含む処理速度で優位に立っている。女性は、物体の位置記憶と言語記憶(英語版)に優れている傾向がある。また、言語学習も女性の方が優れている。物を合わせる作業や、指定された穴に釘を入れるなどの精密作業においては、女性の方が優れている。迷路や小道完了課題では、男性は女性よりも少ない試行回数でゴールのルートを学習するが、女性は提示されたランドマークを多く記憶している。このことから、女性は日常生活の中で、男性よりもランドマークを使って自分の方向付けをしていることが示唆されている。また、物体が入れ替わったかどうかの記憶は、女性の方が優れていた。
※この「認知タスク」の解説は、「性差の神経科学」の解説の一部です。
「認知タスク」を含む「性差の神経科学」の記事については、「性差の神経科学」の概要を参照ください。
- 認知タスクのページへのリンク