試作車両「TSE」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 23:55 UTC 版)
「JR四国2000系気動車」の記事における「試作車両「TSE」」の解説
1989年(平成元年)に富士重工業で製作された試作編成3両で、「TSE」の愛称を持つ。最高運転速度は120km/h。テープ式(1993年に音声合成式へ交換)の自動放送装置やLED式車内案内表示装置、行先表示器(2201を除く)を備えている。 座席、冷房吹き出し口はキハ185系の流れを汲んでおり、冷風吹き出し口は観光バスのように荷物棚の下に各自で風量・風向の調節が可能なタイプが設けられている。 登場当初は、万が一量産化に失敗した時に備え、AV装置を搭載して前面展望の映像を流したりしたほか、連結面の幌内側に化粧板パネルを設置したり、座席は少し窓側を向くように固定できるようにしたなど、団体専用列車としても使用可能であった。その後、量産化改造時に座席を窓側へ固定出来ないようにしたほか、AV装置は撤去し、2001、2201ではAV装置前に二人用座席を1つ増設、2101ではソファーを撤去し二人用座席を8つ取り付けた。 座席の前後間隔はキハ185系より40mm拡大した980mmとしている。2001、2201の座席は増設部も含めて全面モケット張りの同じ座席だが、2101の座席は元ソファースペースを含む4列が量産車と同じバックシェルタイプ(後述)の座席とされた。 前述の通り「ローレル賞」および「日本機械学会賞」を受賞。これを受けて一時期、2001の前面中央部に大型の、2101運転席上部に小型横長の「'90 LAUREL PRIZE」と表記されたステッカーが貼付されていた。 2018年(平成30年)3月17日の宇和海2号の運行をもって定期運行を終了し、同年7月3日に廃車を前提とした多度津工場への運転で客扱いを終了、3両とも2019年3月31日付で廃車された。中間の2201号は解体され、2001-2101の2両が多度津工場にて保存されている。 ローレル賞ステッカー付きの2001(1990年 / 高松駅) ヘッドマークとローレル賞ステッカー付きの2101(1990年 / 高松駅) 2000形(2001) 編成の下り方先頭に組成される、運転台付きの普通車。定員48名(登場時は46名)。振子制御装置を搭載し、行先表示器とトイレ・洗面所が設置されている。登場時は密着自動連結器で、運転台がある側に大きなカバーを備えていたが、後にカバーを撤去したうえで密着連結器+電気連結器に変更された。後に運転台がない側も密着連結器+電気連結器に変更された。 2100形(2101) 編成の上り方先頭に組成される、運転台付きの普通車。定員48名。2001とは異なり平面的な前面である。行先表示器とトイレ・洗面所が設置されている。 登場時は2分割式プラグドアの外側貫通扉が設置されていた。後に板式のヘッドマークが取り付けられた時期もあったが、量産化改造の際にプラグドアレールを外して外側貫通扉を撤去し、幌が取り付けられた。高松運転所に転属した際に幌は撤去されて外側貫通扉の代替となる板が付いた。この板にはヘッドマーク掛けがないため、ヘッドマークが掲出されていない。 かつては運転台がない車端寄りに、線路方向に座席を配したソファースペースが設けられていた(この当時の定員は座席36名、ソファー7名)。登場時は密着自動連結器で、キハ185系と併結できるような仕様になっていたが、実際に連結されて営業運転されたことはなかった。後に量産化改造で運転台がある側が密着連結器+電気連結器に変更された。後に運転台がない側も密着連結器+電気連結器に変更された。 2200形(2201) 編成の中間に組成される、運転台なしの普通車。定員56名(登場時は54名)。業務用室、車販準備室、車掌室、テレホンカード式公衆電話をそなえた電話室を設置(公衆電話は2000年に撤去)。登場時は密着自動連結器だったが、後に密着連結器+電気連結器に変更された。 2000形 2001(2011年9月 / 松山駅) 2100形 2101(2011年9月 / 松山駅) 2200形 2201(2011年9月 / 松山駅)
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