評価の実際
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 13:34 UTC 版)
GRECOの第4次評価ラウンドにおけるセルビアの例を挙げる。 2015年6月、セルビアに関する評価報告書がGRECO第68回総会で採択され、セルビアの許可を得て7月に公開された。立法過程の透明性、国会議員の行動規範の採択、利益相反の回避、裁判所ならびに検察の改革などを含む13の勧告がなされた。 2017年4月、セルビアはGRECOの手続き規則に則り、勧告実施のために取られた措置の状況報告書を提出した。GRECOはノルウェーとポーランドを遵守評価の報告者に選任した。 2017年10月、GRECO第77回総会でセルビアの第1次遵守報告書が採択された。セルビアは、13の勧告のうち7項目が部分的に実施、6項目が未実施であった。結論として、非常に低いレベルの遵守であり、「全体として不満足」であるとした。GRECOは規定に則り、セルビア代表団長に対して勧告の実施進捗状況について、できるだけ早く、遅くとも2018年10月31日までに引き続き報告するよう要請した。2018年11月30日、セルビアは、保留中の勧告の実施に関する情報提供を行い、ノルウェーおよびポーランドの代表者によって作成された遵守報告書を提出した。 2019年3月、第82回総会で、セルビアに関する中間報告書が採択された。セルビアは、評価報告書に含まれる13の勧告のうち、10項目は部分的に、3項目は未実施であった。完全に実施された勧告はなかったが、勧告の全体的な遵守レベルは向上しており、規則が意味する「全体として不満足」ではないと結論付けた。そのうえで、GRECOはセルビアに対し、勧告を実施するための努力をさらに進めるよう奨励し、セルビアに対し、勧告の実施に関する追加情報を提出するよう要請した。 2020年10月、第86回総会において、セルビアに関する第2次遵守報告書が採択された。その中でセルビアは、13項目の勧告のうち2項目を満足に実施し、10項目が部分的に実施され、1件は未実施であると評価された。具体的には、国会議員のロビー活動に関する新法が採択されたことが評価された。一方、勧告を実施する上で、憲法改正がまだ進行中であることが障害となっていること、裁判官協会や検察官協会の離脱など協議のプロセスがかなり険悪な環境であることを強く懸念し、引き続きセルビアに対し、憲法改正が広範な人々の理解を得られるよう、努力を惜しまないよう引き続き働きかけた。 2022年3月、第90回総会において、セルビアに関する中間報告書が採択された。結論として、セルビアが、13項目の勧告のうち8項目を満足に実施、5項目を部分的に実施していると評価した。国会議員に関する勧告のほとんどが満足のいく形で実施されており、法律の起草プロセスの透明性は、ウェブサイトを通じた法律案の適時開示や、議会での公聴会開催によりさらに改善された。裁判官と検察官に関しては、憲法が改正され、裁判官の構成が改善したこと、行政・立法府の代表者による職権委員が廃止され、裁判所と裁判官が憲法上の独立機関として認められたことを評価した。また、GRECOの勧告に従って改正された汚職防止法も歓迎した。以上のことから、GRECOは、勧告の遵守の全体的なレベルは「全体として不満足」ではないと結論づけた。GRECOは引き続きセルビアに対し、状況の報告を行うよう要請した。
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