勧告の実施
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/13 01:20 UTC 版)
「紛争解決に係る規則及び手続に関する了解」の記事における「勧告の実施」の解説
被申立国は、措置の是正を勧告する報告書が採択された日から30日以内に開催されるDSB会合で、報告書における勧告を履行する意思を表明することとされている(DSU第21条3)。被申立国が報告書における勧告を速やかに実施することができない場合には、履行のための「妥当な期間」(A Reasonable Period of Time、RPT)が与えられることとなっている(DSU第21条3)。DSBは、報告書採択の後、勧告の実施を監視することとされており、関係加盟国は、一定期間経過後当該問題の解決まで、勧告の実施の進展につきDSB会合で定期的に報告を提出する(DSU第21条6)。パネル・上級委員会の勧告は、通常、「問題の措置を協定整合的に改めるよう」指示するにとどまり、具体的な履行方法までは示さないことが慣行となっているため、被申立国が履行のためにとった措置の有無やそのWTO協定整合性について、申立国と被申立国との間で意見の対立をみることも少なくない。この点、DSUは「勧告及び裁定を実施するためにとられた措置の有無又は当該措置と対象協定との適合性について意見の相違がある場合」、履行確認のためのパネルを設置することを認めている(DSU第21条5)。この履行確認パネルは、通常、当該案件の原パネルを担当したパネリストによって構成され、問題がパネルに付託された日から90日以内に報告を出すこととされている(DSU第21条5)。履行確認パネルは、通常のパネル手続と異なり、パネル設置に先立って協議を行う必要はなく、パネル会合は通常1回しか開催されない。また、履行確認パネルは、履行の有無等について疑義がある場合、何回でも提起することが可能であるほか、DSU上に特段の規定はないものの、実際には上級委員会における審理も行われている。
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