勧告から給与改定に至るまで
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/11 11:51 UTC 版)
「人事院勧告」の記事における「勧告から給与改定に至るまで」の解説
給与勧告の内容は人事院会議で最終決定し、官民給与や生計費に関する調査結果が記載された「報告」(国公法第28条第2項)とセットで国会と内閣に対して同時に行われる。例年、人事院総裁が内閣総理大臣に勧告書を手渡す様子が公開されている。 職員の給与は金銭、有価物を問わずすべて法律に基づき支給されなければならない(国公法第63条第1項、給与法定主義)。よって給与勧告の実施には法律の改廃制定が必要となるが、人事院には法案提出権はないので、政府立法か議員立法を通じて実施する。制度発足から現在にいたるまで、勧告を受けた内閣が法案を国会に提出し、可決・成立させるというプロセスをたどっている。人事院勧告は相手方(給与勧告の場合、内閣と国会)を法的に拘束するものではないので、勧告通りに法案が策定、又は可決・成立するとは限らない。 給与勧告を受けた内閣は、その取扱方針を給与関係閣僚会議を経て閣議決定する。この取扱方針を基に、総務省人事・恩給局(旧総務庁人事局)が給与関連法(給与法、寒冷地手当法など)の改正案を策定。次にこの改正案を閣議決定し、内閣提出法案として国会に提出する。最後に国会で法案が可決・成立し、改正法に定められた実施時期が訪れて給与改定は実施をみる。なお、改定時期は給与の改定項目(俸給表、各手当など)によってことなる。 政府・国会側が勧告通りに給与改定を実施しない時に用いられる手法には、減額(「値切り」)で改定内容そのものを勧告から改変する方法と、内容は勧告通りだが、実施を遅延もしくは見送る(「凍結」)方法がみられた。どちらも職員給与を抑制するもので、前者の方法は主に1950年代と1982年~1984年にかけて、後者は1960年代に使われた。近年は引き下げ勧告となった年もあり、一部の改定事項を除いて完全実施が続いている(詳しくは#沿革を参照)。 このような給与勧告の不完全実施の理由として政府は財政上の理由を挙げてきたが、人事院や組合側は人事院勧告は労働基本権制約の代償であるから完全実施するべきとしてきた。
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