解決案の議論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/23 14:43 UTC 版)
元々、ヨーロッパ型の教育制度を輸入した日本は義務教育終了の段階で職業学校が大きな役割を占めていた。ところが、第二次大戦後になると逆の体制が採られた。これを象徴する詞は1947年当時の文部大臣であった高橋誠一郎が学校教育法の提案理由で挙げた「心身の発育不充分なうちから職業教育を施しまして」という詞である。これに中央集権的システムによる多様性と柔軟性の欠乏が重なって、多くの学生が通常の高等学校から大学に進む形が多くなっているとされる。 高等学校以上の後期中等教育や、大学受験に向けての学習が職業に直結して即戦力となる、あるいは職業に直結しやすい内容に変えていくことがよいと考えられることが多い。例えば、福祉科高校など多様な職業高校の設置、プログラミングなどのIT教育、コミュニケーション能力を向上させるための教育などが真っ先に挙げられる[要出典]。 しかし、多くの新設大学や新設学部はビジネスや情報科学、外国語やコミュニケーションを重視するが、その内容と実績が必ずしも十分ではない。外国語に至っては目標水準が著しく低いリメディアル教育といわざるをえないものが広まる一方、バイリンガル環境が無理なく定着しているのはごく少数の大学に過ぎないという意見もある。 そして、一方で、一流大学とされる大学の文系学部ではそうした実学教育がほぼ皆無であることも事実である[要出典]。むろん、一流大学の場合も一定数は一流企業に入社しているが、一定数がフリーターになったり中小企業に入社していたりする事実もある。ここは個人の選好にもよるところでもある。 なお、「解決策を教育機関に求めるべきか?」という意見がある。OJTを有効に活用することで各企業はニーズと状況に応じた職業訓練を行えばよいのであるということであるが、入社時点で企業が求めるニーズを満たした従業員と満たしていない従業員では「育成コスト」に大きな差が出てくる。 また、コミュニケーション能力などの基本的なヒューマンスキルはOJTでは能力の向上が難しいという面がある。小学生程度の年齢から一つ一つステップアップしていくことが望ましいため、学校教育がこうした「ビジネスに向いたヒューマンスキル」向上の役割を持っていることもある。 ただ、冷戦後の終わらない不況による人件費削減を理由に、訓練などに時間をかけられないことから即戦力を採用したり、高学歴者の中途採用を敬遠したりする傾向も強く、根本的な解決にはなっていない。 イギリスの社会学者ロナルド・ドーアは、就職年齢を早めて、全員を下級事務員や工員として採用してから、成績優良者に専門教育を受けさせて上級管理職やエンジニアにする方法を提案している。
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