装飾経の一覧
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ここでは、国宝か重要文化財の指定を受けている巻を一つでも含むものと、その条件からは外れはしていても何らかの特筆性が認められるものに限って記載する。 『国分寺経』 『紫紙金字金光明最勝王経』。奈良時代前期(8世紀半ば)にあたる天平18年(746年)に書写が完了。西國寺(広島)旧蔵、奈良国立博物館所蔵(国宝10巻)。菅原道真の筆と伝えられる巻第七も残る。 『紫紙金字華厳経』 奈良時代(8世紀)の写経。華厳経の漢訳には四十巻本、六十巻本、八十巻本があるが、本品は八十巻本である。現存する巻は各所に分蔵されており、五島美術館、大東急記念文庫、国立歴史民俗博物館、藤田美術館、奈良国立博物館、及び個人所蔵の各1巻が重要文化財に指定されている。 『二月堂焼経』 『紺紙銀字華厳経』。奈良時代中期(8世紀半ば)。東大寺二月堂に伝来した。華厳経の漢訳には四十巻本、六十巻本、八十巻本があるが、本品は六十巻本である。寛文7年(1667年)、修二会(お水取り)の際の失火で二月堂が炎上した際、この華厳経も被災し、料紙の上下に焼痕があることから「二月堂焼経」と通称される。東大寺には60巻のうちの一部が残るのみで、大部分は寺外に流出した。東大寺に残るのは、巻第五十九の大部分(第六紙のみ欠)と他の巻の断簡69紙分(巻子19巻に仕立てられている)である(重要文化財)。寺外流出分のうち、完本として残るのは巻第一(個人蔵、重要文化財)と巻第四十六(根津美術館蔵、重要文化財)のみ。奈良国立博物館蔵の2巻(重要文化財)は、4巻分の断簡計17紙を甲・乙の2巻に調巻したものである。根津美術館には完本の巻第四十六のほかに巻第五十二の残巻(重要美術品)もある。 『竹生島経』 平安時代前期(11世紀)。紙本墨書。完成時は全8巻であったと推定される。宝厳寺伝来。宝厳寺所蔵(1帖)、東京国立博物館所蔵(国宝1巻『法華経方便品』)。地紙に金銀泥で花蝶を描いており、『平家納経』との類似性が認められる。 『中尊寺経』 平安時代後期前半(12世紀前期前半)。永久5年(1117年)2月から天治3年(1126年)3月に掛けて書写されたと考えられる、完成当時の巻数は5,390にもなったと推定されている。中尊寺伝来。金剛峯寺所蔵(国宝4,296巻)、観心寺所蔵(重文166巻)、中尊寺所蔵(重文15巻)、東京国立博物館所蔵(重文12巻)、京都国立博物館所蔵(重文1巻)、個人蔵(巻数不詳)。巷間に散在するものを合せれば 4,500~4,600巻程度が現存していると考えられる。 『久能寺経』 平安時代後期(12世紀)。国宝・重要文化財。鉄舟寺所有・東京国立博物館収蔵(国宝19巻)、個人蔵(国宝4巻)、東京国立博物館蔵(重文3巻)、五島美術館(重文2巻)。cf. 鉄舟寺#国宝。 『金銀箔散料紙墨書法華経』 - 平安時代後期(12世紀)。彩箋墨書。大雲院(鳥取市)伝来。東京国立博物館所蔵(重文1巻『法師功徳品』)。 『平家納経』 平安時代後期後半、仁安2年(1167年)に完成。厳島神社伝来・同社所蔵(国宝全33巻)。 『慈光寺経』 鎌倉時代(一部江戸時代補写)。埼玉・慈光寺蔵。法華経一品経29巻(勧発品を2巻に分ける)、無量義経、観普賢経、阿弥陀経、般若心経の計33巻からなる。 『長谷寺経』 鎌倉時代。奈良・長谷寺蔵。法華経(28巻)、無量義経(3巻)、観普賢経、阿弥陀経、般若心経の計34巻からなる。
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