街路樹の弊害
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/06 16:04 UTC 版)
モータリゼーションの発達した都市の道路沿い(道路上)という自然界の木とは全く異なる特殊な環境に人為的に植えられた現代の街路樹は、森林や公園などの木々とは異なり、それらの木々では起こりにくい都市機能や生活環境に支障をきたす様々な弊害(環境負荷・公害)を生み出している。街路樹を植えることにより、景観を良くするつもりが、かえって悪化してしまったり、道路公害に苦しむ道路沿いに住む人々を助けるつもりが、さらに痛めつけることになってしまったり、ただでさえ危険の多い道路に、さらに事故などの原因となりうる危険な木を植えることにより、ますます危険になってしまったりと、税金で苦痛や災いを作るような結果になってしまっていることが多々ある。 日本では、将来のことをよく考えずに、行政など一部の人間の決定によって、半ば強制的に植えられた街路樹が市民の苦痛や災いの原因になっている事例など、各地で様々な問題が生じているが、景観・緑化・環境(環境問題)などの名のもとの植栽意見により、街路樹は植栽され続けている。しかし、災害時などに街路樹は人命を奪う凶器となることもある。日本は台風や地震が多く気候も異なるのでパリやニューヨークなどと同じように街路樹を植えると、より多くの弊害が発生してしまう恐れがある。 そのため、むやみやたらと木を植えればよい訳ではなく、その土地の気候・地形・町並み・交通安全・住環境・防犯・災害時の危険性・弊害に直接さらされる道路沿いに住む人々の生活・意見などを十分に考慮し、特定の住民に大きな不利益をもたらしたり、事故を誘発したりすることがないように、その土地に適した樹木を選び、適度な間隔で適当な本数を適切な箇所に植栽する(場合によっては植栽しない)ことが望ましい。そして、植えられた街路樹については管理を怠らず定期的な点検・剪定・清掃などのメンテナンスをしっかりと行い、異常や危険などの問題が発見された際は素早く治療・移植・伐採除去などの適切な対応をとり、事前に事故などの被害を回避することが求められる。そのためには、全てのことを行政任せにせず、市民も日頃から身近な道路・街路樹に対して関心を持つことも大切である。そして、それらのことを達成するためには街路樹(苗木)が植栽されて数十年後、大きく成長した際にはどのような弊害が発生するのかをあらかじめ想定し、よく理解しておくことが重要である。 現代の日本では、住宅などの開発が進んだ1960年代~1970年代に大量に植えられた街路樹が老齢となり、管理する地方自治体などの財政負担増、枝の落下や倒木の被害などの問題が顕在化しつつある。各自治体は、樹木医を交えた点検・診断や植え替えなどを行っている。 樹勢が衰えて危険になった老木のほか、公共事業の障害になるとして伐採ないしは移植が検討される街路樹もある。ただ、ランドマークなどとして地域住民や観光客に親しまれている大木群では、反対運動が起きて工事計画の方が変更される場合もある。
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