葉緑素と血色素
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/16 06:06 UTC 版)
植物に含まれる葉緑素は、太陽エネルギーを化学エネルギーに転換し、自らの生命活動を営むと共に、間接的に動物をも養っていることから、地球上の全生命体は葉緑素によって生かされているといってよい。 葉緑素の化学構造は、赤血球の血色素(ヘモグロビン)と極めて類似しており、両者がもつポルフィリン核の中心が、葉緑素はマグネシウム原子(Mg)、ヘモグロビンは鉄原子(Fe)というだけの違いである。 つまり、葉緑素のマグネシウムが、人体内で鉄におきかわると、緑の色素が赤い色素に変わる。大まかなメカニズムは、腸から吸収された葉緑素が肝臓に運ばれて胆汁色素に変わり、その一部が腸粘膜に生理的に存在している鉄を包み込んでヘモグロビンに変わると考えられる。 光合成で主役を演じる葉緑素はポルフィリン蛋白体であり、葉緑素が無ければ植物は存在しえず、食物の中にも、血液の中にも、そして体細胞の中にも共通のポルフィリン体が厳然と存在しているという事実は、それら3者が連続性をもっていることを示している。つまり、この事実は、食物・血液・体細胞の3者が、次元こそ違え本質は一体であることを裏書きすると判断されるのである。 貧血の患者に葉緑素を摂らせると、血球の素材となるのに加えて、その強い触媒作用により造血機能が活性化され著効が得られる。そのほか、葉緑素の浄血作用、消炎作用、損傷組織の修復作用など研究結果は多岐にわたる。 生命の本質は「変わり易い」ということであって、またそれは、流転・変貌する自然界(生活環境)との統一体でもある。生命は、生活環境から独立した「閉鎖的実体」ではなく、むしろ環境との交流を基調とする「開放的な系」であるから、極めて易変性に富んでいる。生命および細胞の起源、増殖、発展においても、現在のような閉鎖型ではなく、開放系の生命観こそ生命科学の基本理念でなければならない。
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