芸術政策
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/17 07:12 UTC 版)
「パット・ウィリアムズ」の記事における「芸術政策」の解説
1980年代後半から1990年代前半にかけての文化戦争(Culture Wars)の中で、国立芸術基金(NEA)を擁護したことで全米の注目を集めた。 1987年9月にノースカロライナ州ウィンストン・セーラムにあるサウスイースタン現代美術センター(SECCA)は、NEAから75,000ドルの助成金を受け、第7回「Awards in the Visual Arts」を主催した。受賞作品の中には、写真家アンドレス・セラーノの「Piss Christ」が選ばれた。同作品はセラーノの尿が入った水槽にプラスチック製のキリスト磔刑像を沈めた様子を写真で撮影したものだった。1988年7月、ペンシルバニア大学の現代美術研究所(ICA)がNEAの助成金を受けて、ロバート・メイプルソープの作品の回顧展を開催した。展示されたメイプルソープの作品の一部はセクシュアルなものであった。 第7回「アワーズ・イン・ザ・ビジュアル・アーツ」の展覧会の終了後、キリスト教原理主義団体のアメリカ家族協会(英語版)(AFA)のドナルド・E・ウィルドモン牧師は、セラーノの写真が掲載されたカタログを見て、セラーノとその作品を非難したほか、資金の拠出を行ったNEAの責任者の辞任を要求した。AFAをはじめとする保守系団体や共和党指導者層もNEAを非難した。しかし、下院の高等教育および職業訓練小委員会の委員長を務めていたウィリアムズは、同基金の擁護を行った。1990年5月17日にウィルドモン牧師は、ウィリアムズの選挙区の有権者にメイプルソープの作品のコピーを送ると脅した 。 議会では共和党のジェシー・ヘルムズ上院議員(NC)とアルフォンス・ダマト上院議員(NY)を中心にNEAへの批判が巻き起こり、1989年7月26日、ヘルムス議員は「猥褻・猥雑」な芸術を連邦政府が支援することを防ぐための修正案を提出した。同年10月、ウィリアムズはコールマン代議士とともに、ウィリアムズ・コールマン妥協案を発表した。この法案は、財団の助成金交付手続きの構造を変更し、猥褻性の判断を最高裁に委ねるほか、州や地方の芸術機関に対するNEAの助成金の割合を増やし、農村部や都心部、芸術教育への助成金を増やして一般市民の芸術へのアクセスを向上させるというものだった。激しい議論の末、内務省予算案の上下両院協議会では、ウィリアムズ・コールマン妥協案の文言がヘルムス修正案などの他の修正案よりも優先して採用され、その後法制化された。 NEAを支援したことで、反対派からは「ポルノ・パット」と呼ばれ、ワシントンD.C.とモンタナ州の空港では、看板を持った抗議者が彼に詰め寄ったこともあった。 1997年に下院議員を辞任した後もウィリアムズは芸術への支援を表明し続け、モンタナ州ヘレナで芸術政策や資金調達に関する会合を開催している。2010年にはブライアン・シュバイツァーモンタナ州知事から、国立芸術基金の保護に尽力したとして、知事芸術賞を授与された。
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