自然環境の保護活動について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/20 09:19 UTC 版)
「小笠原諸島の自然」の記事における「自然環境の保護活動について」の解説
小笠原諸島では、戦前から母島と硫黄島の森林に学術保護林の指定が行われるなど自然保護の動きが開始されていたが、自然保護の活動が本格化するのは1968年の日本復帰後のことであった。 1972年、孤立島である南鳥島、沖ノ鳥島の2島、立入り制限とした硫黄島を除き、また父島、母島のうち人家周辺を除く全島と地域が小笠原国立公園に指定された。特に南硫黄島は有史以来人間の影響が最小限に抑えられてきた背景を鑑みて、1975年にそれまでの国立公園区域から除外し、南硫黄島原生自然環境保全地域に指定された。さらに1983年、自然保護の観点から立ち入り制限区域とされた。 天然記念物としては、1972年に南硫黄島全島が、2008年には南島の沈水カルスト地形が天然記念物に指定された。また、希少な動物類としてオガサワラオオコウモリなどが天然記念物に指定された。天然記念物指定外の12種類の植物類も、種の保存法に基づいて国内希少野生動植物種に指定され、保護が図られるようになった。 2003年には小笠原諸島は世界遺産の候補地とされ、2007年には世界遺産の暫定一覧表に自然遺産として記載され、2011年、世界遺産リストに正式登録された。小笠原の持つ貴重な固有の生態系がますます注目されるようになる中、人間の活動や外来種の侵入などで大きな問題も抱えている小笠原の生態系を守っていくことを目的とした様々な活動が行われるようになった。 外来種の駆除や拡散の防止 現在も外来種の駆除や拡散を防ぐための各種の対策が継続して進められている。これは父島で行われているノネコ、ノヤギの侵入を防ぐフェンスの設置、母島で行われているグリーンアノールから固有の昆虫類を守るネットの設置、そしてニューギニアヤリガタリクウズムシが父島から拡散しないように行われている靴の洗浄などや、ノヤギやクマネズミ、カエル類の駆除、そしてアカギやモクマオウなどの外来植物の駆除などが進められた。 エコツーリズムの推進 世界遺産登録を踏まえ、今後想定される観光客の増加等を考えると、エコツーリズムの浸透も小笠原の自然環境を守る上で重要な課題である。まず天然記念物に指定されている南島については、指定のナチュラリスト・ガイド同伴のもと、一日の上陸者を最大100名までとし、最長滞在時間も2時間までとして冬季3か月間は上陸を禁止するという取り決めがなされた。また母島の石門と父島の中央山東平のアカガシラカラスバトサンクチュアリーも、ナチュラリスト・ガイドの同伴による自然観察を義務付けるといった措置が取られるようになった。 生活島民との共生 そして小笠原諸島の父島、母島には農業、漁業等で生計を立てる住民が生活している。オガサワラオオコウモリが農作物に対して被害を与えているなど、住民生活と自然保護との間に問題も存在しており、住民対象にも自然保護に関する普及啓発活動等が行われている。
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