自然環境と終末期旧石器文化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/02 09:38 UTC 版)
「エジプト先王朝時代」の記事における「自然環境と終末期旧石器文化」の解説
現在では広大な砂漠地帯となっているナイル川西方の地域は、12,000年前頃から紀元前7千年紀頃まで、第4湿潤期と呼ばれる湿潤な時代に入った。湿潤と言っても年間降水量は200mm前後であったとみられるが、スーダン北部からエジプト南部の地域においては植物が繁茂し、ノウサギ、ガゼル、オリックス等が生息していた。この時期は考古学的には「終末期旧石器時代(Terminal Palaeolithic)」または「続旧石器時代(Epipalaolithic)」に分類され、現在砂漠となっている地域にも人類の居住が確認されている。特に夏季の降雨の後に水たまりができる低地や、比較的浅い位置に地下水が存在する場所にその居住は集中している。現在の西部砂漠地方にあるナブタ・プラヤ遺跡周辺で終末期旧石器時代の遺跡から発見される人類が捕獲した動植物の遺存体にはノウサギやガゼルの他、ダチョウの卵や鳥類の骨片、アカシア、ギョリュウ、ナツメヤシ等が含まれており、現在より遥かに生物密度の大きい当時の環境を証明している。 ナイル川中流域(現在のスーダン中部)でも多数の集落が形成されている。このナイル川中流域の遺跡から発見された文化はカルトゥーム(ハルツーム)中石器文化(Khartoum)と呼ばれている。このカルトゥーム中石器文化の遺跡からエジプトで最も古い段階の土器が発見されており、また豊富な動植物資源、水産資源に支えられて定住も開始したと考えられている。 7,000年前頃から、アフリカ大陸北東部では乾燥化が徐々に進行し始めた。これに合わせて人類の生活環境も、年間を通して水が手に入るナイル川流域が中心となっていった。そして、ナイル川流域での農耕の開始をもって新石器時代の開始とされている。考古学的見地からはこの時点を先王朝時代の開始とする見解がある。
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