職員のパワハラ自殺
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/02 21:48 UTC 版)
2018年7月情報システム課に勤めていた30歳の男性職員が、自宅のアパートで首をつって自殺しているのが見つかった。部屋にあったかばんからは本人の直筆のメモが見つかり、職場の上司の威圧的な態度や夜眠れないなど、体調や精神面の異変などが記されていた。そのため職員の遺族が同年10月これまでの業務と関わりがない部署への異動といった職務内容の急激な変化や上司によるパワハラが自殺につながったとして公務災害として認定するよう地方公務員災害補償基金に申請。これを受けて市はようやくメディアに職員自殺を公表した。その後同年11月の臨時議会の議決を経て、同年12月にこの問題を調査するための第三者委員会を設置した。第三者委員会は当初の予定を延長し、2019年6月に調査結果を公表。自殺した職員の上司である46歳の女性係長によるパワハラを認定した。報告書ではこの女性係長による自殺した職員への暴力や暴言の事実は認められなかったが、同職員に対し継続的に威圧的な態度や言動を行ったり、他の職員とは談笑しても自殺した職員とはほとんど会話をしない、仕事についての質問に対し解決法を教えない、指導後にフォローしないなどの行為により同職員が精神疾患にかかり自殺に至った可能性が高いと結論づけた。また同報告書ではこの女性係長が4年前に小牧市教育委員会教育総務課に勤務していた際もパワハラがあったとされた。同課では精神疾患等による休職者が続出していた。さらにその前に所属していた行政経営課でも当時の部下に対し看過できない重大な事象が生じており、この女性職員の部下への接し方をはじめとした問題点に関して調査・検証する機会はあったと指摘。休職制度やハラスメントに関する研修も不十分だったと一連の女性職員に対する市の対応を批判した。これを受けて山下史守朗小牧市長は「自殺を防げなかったことは大変残念。再発防止に取り組んでいきたい」と述べた。また女性係長については「報告書の内容を精査し、処分を含めて対応を検討したい」とした。小牧市は翌7月に処分を発表。女性係長に対しては停職6か月の懲戒処分とした。またパワハラを防げなかったとして情報システム課の男性課長を3か月の減給10分の1の懲戒処分、女性係長の前所属の小牧市教育委員会教育総務課の当時の課長と課長補佐も監督責任で戒告処分とした。 その後女性係長は「一身上の都合」を理由に同年7月19日に退職。2020年8月遺族と市職員組合は「市から一度として公式な調査結果説明がされていない」として、市に対しさらなる原因究明や再発防止に関する協議を求めたが、これに対し市側は「調査は既に終了した」「これ以上原因究明しない」と遺族を含めた協議の開催を拒否。そのため遺族らは同年10月22日あらたに「パワハラをした上司が過去に別の部下にパワハラをしていた疑いがあったのに再び部下を持つ地位に任命した経緯の究明も不十分」と指摘。実効性のある再発防止策に職員目線も踏まえ遺族も一緒に協議することが重要と再度市側に協議の場を設けるよう申し入れ書を提出した。しかし市側が回答したのは10ヶ月後の2021年6月だった。そのため遺族は「回答までにあまりにも長い時間が経過し、さらに裁判となれば今後かなりの時間を要すことから、話し合いによる解決を模索し、この度『苦渋の終結』とすることにしました。」として市との間で6900万円で和解に応じる姿勢を示した。これを受けて2021年12月の市議会で和解案が全会一致で可決された。
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