給付の種類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/22 15:27 UTC 版)
すべての被保険者に共通する基礎年金(老齢・障害・遺族)と第1号被保険者のみの独自給付がある。老齢基礎年金の年金額は、1984年(昭和59年)度における65歳以上の者の雑費を除いた基礎的支出が、単身の場合が、47,600円/月、夫婦世帯の場合が、83,700円/月であったこと、1984年(昭和59年)度で25年間保険料を納付した場合の年金額が、48,000円/月であったことなどを勘案して、1985年(昭和60年)の年金制度改正で50,000円/月(年額60万円 1984年(昭和59年)度価格)となった。その後の財政再計算や物価スライドなどにより年金額の改定が行われ、現在の年金額の水準となっている。 現在の調整期間における改定率については、新規裁定者(68歳到達年度前の受給権者)の改定率であれば原則として「『名目手取り賃金変動率』に『調整率』を乗じたもの」、既裁定者(68歳到達年度以後の受給権者)の改定率であれば子の加算額に係るものを除き原則として「『物価変動率』に『調整率』を乗したもの」、を基準にしてそれぞれ改定される。ただし、物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回り、かつ名目手取り賃金変動率が1以上となるときは、名目手取り賃金変動率を基準に改定される(第27条の4)。 調整期間における年金額の改定の実例については、マクロ経済スライド#適用例を参照。 年金を受ける権利は、法律で定められた要件を満たしたときに発生するが、実際の支給を受けるためには、年金請求書に添付書類(戸籍謄本、世帯全員の住民票、所得証明書(課税証明または非課税証明)、その他必要書類)を添えて提出し、厚生労働大臣に事実の確認を求め、受給要件の存在の確認を受けなければならない。年金請求は国民年金と厚生年金とを一体として行う。この裁定請求をしなければ、受給権があっても年金は支給されない(第16条)。審査の結果、受給要件を満たしているときには、受給権者に年金証書、年金決定通知書が送付される。年金の時効は5年なので(後述)、受給権が発生したときから5年以内にこの手続きをしないと、受給権は消滅する。 年金額に1円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数は切り捨て、50銭以上1円未満の端数は1円に切り上げる(第17条)。各支払期月の支払額(年金は偶数月に前月までの2か月分がまとめて支給されるので、年金額の6分の1)に1円未満の端数が生じたときは、その端数は切り捨てる。そして各支払期月に切り捨てた金額の合計は2月期の支給額に加算される(加算額についても1円未満切り捨て)(第18条の2)。2015年(平成27年)10月よりそれまでの100円単位から1円単位へと計算が変更となった。ただし、基礎年金の満額、厚生年金の加給年金額・子の加算額・中高齢寡婦加算額、障害厚生年金の最低保証額については従来通り100円単位の計算を行う。また2015年(平成27年)10月前に裁定・改定が行われた給付については従来通り100円単位の計算を行う。 年金給付は、その受給権者の希望により、給付額の全部の支給停止を申し出ることができる(一部のみの申出は不可)。支給停止はいつでも将来に向かって撤回することができるが、撤回前の給付は遡って支給されない(第20条の2)。なお、年金受給権者の所在が1か月以上不明となった場合、世帯主その他同居の親族等は所在不明である旨の届出をしなければならず、届出をすると年金の支給が一時差し止めとなる。
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