マクロけいざい‐スライド【マクロ経済スライド】
読み方:まくろけいざいすらいど
年金の給付水準を、その時の社会情勢にあわせて自動的に調整する仕組み。公的年金全体の被保険者(公的年金に加入し保険料を支払っている人)の減少率に平均余命の伸びを勘案した一定率(0.3パーセント)を加えた「スライド調整率」を、年金額改定の基準となる賃金や物価の変動率から差し引くことで、年金額の伸びを抑えるもので、年金財政の均衡がとれる見通しが立つまで続けられる。平成16年(2004)導入。
[補説] 賃金・物価の上昇率がスライド調整率よりも低い場合、年金額の引き下げは行われない(名目下限措置)が、平成30年度(2018)から、この措置によって調整できなかった分を繰り越して、賃金・物価が十分に上昇した年に調整する仕組み(キャリーオーバー)が導入された。賃金の変動率がマイナスで、物価の変動率より低い場合、年金額は物価を基準に減額または据え置かれるが、令和3年度(2021)以降は、賃金の変動にあわせて減額される。
マクロ経済スライド(まくろけいざいすらいど)
年金額は通常の場合、賃金や物価の伸びに応じて増えていきますが、年金額の調整を行っている期間は、年金を支える力の減少や平均余命の伸びを年金額の改定に反映させ、その伸びを賃金や物価の伸びよりも抑えることとします。この仕組みをマクロ経済スライドといいます。
その後の財政検証において年金財政の均衡を保つことができると見込まれるようになった時点で、年金額の調整を終了します。
なお、このマクロ経済スライドの仕組みは、賃金や物価がある程度上昇する場合にはそのまま適用しますが、賃金や物価の伸びが小さく、適用すると名目額が下がってしまう場合には、調整は年金額の伸びがゼロになるまでにとどめます。したがって、名目の年金額を下げることはありません。
賃金や物価の伸びがマイナスの場合には、調整は行いません。したがって、賃金や物価の下落分は年金額を下げますが、それ以上に年金額を下げることはありません。
用語集での参照項目:財政検証、再評価、物価スライド
マクロ経済スライド
マクロ経済スライド(少子化と長命化に伴う年金の減額率)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/11 07:57 UTC 版)
「日本の年金」の記事における「マクロ経済スライド(少子化と長命化に伴う年金の減額率)」の解説
詳細は「マクロ経済スライド」を参照 2004年法改正では、給付と負担の見直し方については、最終的な保険料の水準を法律に規定し(保険料水準固定方式)、その保険料の範囲内で年金給付を行うことを基本とした。年金額改定は、新規裁定者(68歳未満)は名目手取り賃金の伸び率(変動率)によるスライド、既裁定者(68歳以上)は物価の伸び率(変動率)によるスライドにより行われる。このため、これまでのように5年ごとの財政再計算(保険料の改定)は行わず、財政状況を検証するため、少なくとも5年に一度、「財政の現況及び見通し」の作成(財政検証)が行われる(初回は2009年、以後2014年にも実施)。 また、財政均衡期間において、必要な積立金が確保できないなど財政の不均衡が見込まれる場合には、賃金や物価の変動と合わせて、少子化(公的年金加入者の減少)や高齢化(平均余命の伸び)といった経済情勢や社会情勢などの変動に応じて、給付の水準を自動的に調整する仕組み(マクロ経済スライド)が導入された。マクロ経済スライドによる調整期間における年金額改定は、新規裁定者(68歳未満)は名目手取り賃金の伸び率(変動率)×スライド調整率、既裁定者(68歳以上)は物価の伸び率(変動率)×スライド調整率により行われる。 スライド調整率=公的年金加入者の変動(減少)率×平均余命の伸び率(0.997) 公的年金加入者の変動率=3年度前の公的年金加入者総数の変動率(3年平均) 平均余命の伸び率(0.997)=65歳時の平均余命の伸び率(平均的な受給期間の伸び率は0.3%)
※この「マクロ経済スライド(少子化と長命化に伴う年金の減額率)」の解説は、「日本の年金」の解説の一部です。
「マクロ経済スライド(少子化と長命化に伴う年金の減額率)」を含む「日本の年金」の記事については、「日本の年金」の概要を参照ください。
「マクロ経済スライド」の例文・使い方・用例・文例
- マクロ経済スライド
- マクロ経済スライドのページへのリンク