マクロ経済学における用法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/05/02 06:03 UTC 版)
「長期と短期」の記事における「マクロ経済学における用法」の解説
「長期」と「短期」のマクロ経済学における用法はミクロ経済学によるものと異なっている。ジョン・メイナード・ケインズは1936年に刊行された主著『雇用・利子および貨幣の一般理論』において、市場経済が完全雇用から乖離し、経済が完全雇用に到達しない期間について論じ、経済のファンダメンタルな要素を強調した。より近代のマクロ経済学における用法では、「長期」という語は「経済の総需要曲線と総供給曲線のシフトに関して価格水準が完全に柔軟である期間」として用いられている。「長期」では、加えて、経済の部門(セクター)間における労働力と資本の完全に自由な移動が仮定され、国際間の資本の完全に自由な移動が仮定されている。しかし、短期においてはこれらの条件のどれにおいても完全に満たされる必要はない。総需要曲線・総供給曲線のシフトに関して、価格水準は粘着的もしくは固定的である。資本も部門間を完全に自由に移動するわけではなく、また、資本の国際的な移動に関しても、国家間での利子率の違いおよび固定為替レートによって、資本は完全には自由に移動しないとされている。 長期分析の非現実性や、短期分析の軽視への批判はジョン・メイナード・ケインズによるものがある。貨幣供給を倍にすることで物価水準が倍になるということを主張する貨幣数量説の長期命題を評して、ケインズは「長期的には我々は皆死んでいる」と述べた(Keynes 1923, p. 65)。
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