年金額の改定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/18 15:40 UTC 版)
被保険者(在職中)である老齢厚生年金(「本来」、特別支給とも)の受給権者は、昇給・降給・賞与支払い等によって総報酬月額相当額が改定された場合、改定が行われた月から新たな総報酬月額相当額に基づいて支給停止額が再計算され、当該改定が行われた月から年金額も改定される(厚生年金保険法第46条6項)。 離婚分割が行われた場合、当該分割の請求のあった日の属する月の翌月から年金額が改定される(厚生年金保険法第78条の10)。 「本来の」老齢厚生年金は、受給権者がその権利を取得した月以後における被保険者である期間は、原則としてその計算の基礎とされない。しかし、受給権者が資格喪失し、かつ被保険者となる(再就職する)ことなく資格喪失日から1月を経過したときは、(「本来」、特別支給とも)資格喪失月の前月までの被保険者期間を年金額の基礎として、資格喪失日(資格喪失の理由が退職・適用除外該当の場合、その日)から1月を経過した日の属する月(退職月の翌月)から年金額の改定が行われる(退職時改定、厚生年金保険法第43条2項、3項)。なお支給繰り上げを請求した場合、65歳到達までは資格の喪失の有無にかかわらず、年金額は改定しない。 2015年(平成27年)10月の法改正により、月末退職の場合の退職時改定の取扱いが変更となった。従来は資格喪失日(退職日の翌日)の規定により、例えば3月31日に退職した場合、資格喪失日(4月1日)から起算して1月を経過した5月から改定となっていたが、法改正後は退職日(3月31日)から起算して1月を経過した4月からの改定となる。 報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金の受給権者が、上述の特例(障害者・長期加入者)に該当した場合、該当した(障害者は請求した)月の翌月から、年金額が改定(定額部分が加算)される。また、すでに特例に該当して定額部分が加算されている特別支給の老齢厚生年金の受給権者が、特例に該当しなくなった場合、年金額が改定(定額部分が加算されなくなる)される(厚生年金保険法附則第9条の2)。 被保険者でなかった特別支給の老齢厚生年金の受給権者が被保険者となった(就職した)場合、被保険者となった月の翌月から、低在老の仕組みにより年金額が改定(原則として減額改定、支給停止)される(附則第11条)。なお被保険者となった月に被保険者の資格を喪失した場合(就職月に退職した場合)は、この仕組みは適用されない。 2016年(平成28年)9月30日以前から同じ事業所に引き続き働いている者が2016年10月1日に短時間労働者として被保険者となったことにより障害者特例・44年特例による定額部分の全額が支給停止された場合、経過措置として届出ることにより定額部分の支給停止が解除される。 2020年(令和2年)5月29日成立した年金制度改革関連法で、在職定時改定という仕組みが導入。60代後半の人が厚生年金を受け取りながら働く場合、収めた保険料を翌年の年金額に反映させる。
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