ざいせい‐けんしょう【財政検証】
読み方:ざいせいけんしょう
財政検証(ざいせいけんしょう)
なお、平成16年年金制度改正前までは、財政再計算が行われていました。財政再計算は、少なくとも5年ごとに実施することが義務づけられており、社会・経済情勢の変化に伴う様々な要素を踏まえて、給付と負担が均衡するよう将来の保険料引上げ計画を策定するとともに、必要に応じ制度改正が行われ、年金制度を長期的に安定したものとしてきました。
用語集での参照項目:保険料水準固定方式、マクロ経済スライド
財政の現況及び見通し
財政の現況及び見通し(ざいせいのげんきょうおよびみとおし)とは、日本の年金諸法(国民年金法、厚生年金保険法)によって政府に作成が義務付けられる、年金財政に係る収支についてその現況及び財政均衡期間における見通しを検証した報告書のことである。「財政の現況及び見通し」を作成する作業のことを財政検証という。
概説
国民年金法第4条の3(財政の現況及び見通しの作成)
- 政府は、少なくとも五年ごとに、保険料及び国庫負担の額並びにこの法律による給付に要する費用の額その他の国民年金事業の財政に係る収支についてその現況及び財政均衡期間における見通し(以下「財政の現況及び見通し」という。)を作成しなければならない。
- 前項の財政均衡期間(第十六条の二第一項において「財政均衡期間」という。)は、財政の現況及び見通しが作成される年以降おおむね百年間とする。
- 政府は、第一項の規定により財政の現況及び見通しを作成したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
厚生年金保険法第2条の4においても、同内容の規定が置かれている。
公的年金制度は長期的な制度であるため、社会・経済の変化を踏まえ、適切な年金数理に基づいて、長期的な年金財政の健全性を定期的に検証することは、公的年金の財政運営にとって不可欠なものである。このため、少なくとも5年ごとに、国民年金及び厚生年金の財政の現況及び見通しの作成(財政検証)を実施している。年金財政の健全性を点検する取り組みであることから「年金の定期健康診断」とも呼ばれている[1][2]。なお2004年(平成16年)までは「財政再計算」の名称を用いていたが、国庫負担の引き上げ、マクロ経済スライドの導入等により、給付と負担の均衡を図るにあたり長期的(おおむね100年間)な年金財政の状況を見通すことが必要となったことから、2009年(平成21年)より「財政検証」と称している。
財政検証においては、今後の社会・経済状況について一定の前提を置く必要があるが、これらは様々に変化しうるものであることから、少子高齢化、労働力率、経済状況(物価上昇率、賃金上昇率、運用利回り等)等について複数のケースを設定している。財政検証の結果、次の財政検証までに所得代替率が50%を下回ると見込まれる場合には、給付水準調整の終了その他の措置を講ずるとともに、給付及び負担の在り方について検討を行い、所要の措置を講ずることとされる(国民年金法平成16年改正附則)。
脚注
- ^ 「年金財政検証 制度改正の論点」読売新聞2024年7月30日付朝刊社会保障面
- ^ 2024年の年金財政検証の結果社会保険研究所
関連項目
外部リンク
- 日本年金機構
- 将来の公的年金の財政見通し(財政検証) - 厚生労働省
財政検証
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/11 07:57 UTC 版)
年金事業の収支 保険料、国庫負担、給付に要する費用など年金事業の収支について、今後おおむね100年間における見通しを作成し公表する。 マクロ経済スライドの開始 今後おおむね100年間において財政の均衡を保つことができないと見込まれる場合には、マクロ経済スライドの開始年度を定める(現在、この開始年度は政令で2005年度と定められ、マクロ経済スライドは発動し得る状態となっているが、実際に発動されたのは2015年度と2019年度の2回だけである)。 マクロ経済スライドの終了 マクロ経済スライドを行う必要がなくなったと認められる場合には、マクロ経済スライドの終了年度を定める。 調整期間 マクロ経済スライドによる調整期間中に財政検証を行う場合には、マクロ経済スライドの終了年度の見通しを作成し公表する。
※この「財政検証」の解説は、「日本の年金」の解説の一部です。
「財政検証」を含む「日本の年金」の記事については、「日本の年金」の概要を参照ください。
財政検証と同じ種類の言葉
- 財政検証のページへのリンク