財政政策に対する思想とその変化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/24 10:04 UTC 版)
「財政政策」の記事における「財政政策に対する思想とその変化」の解説
アメリカではロバート・ルーカスやロバート・バローらの批判による「裁量」から「ルール」への経済政策の転換、さらに、汚職や財政赤字、効率の悪化といった「政府の失敗」などにより、今日では、裁量的な財政政策による景気変動の安定化が専門家から支持されることは少ない。 後述のマンデルフレミングモデルやバローによる公債の中立命題の指摘などもあり、アメリカでは1980年ころから景気変動の安定化は金融政策の役割であると考えられるようになった。したがって、財政政策の目的は景気対策から離れ、恒常所得や資本の増加を目的とした恒久的な減税や、歳入を増加させるための増税、もしくは政府にしか供給できない公共財の提供や補助などが中心となっていった。 これは、一つの政策目標ごとに一つの政策手段が必要というティンバーゲンの定理からわかるように、景気の安定化という一つの目標には、金融政策という一つの政策手段で達成可能と考えられたことによる。固定相場制時代には、金融政策は為替レートの固定という政策目標を与えられていたために、景気の安定化には別な政策手段として財政政策が必要であったが、変動相場制になり金融政策が為替レートの維持から自由となったことによって、金融政策を景気安定化のために使用可能となった。
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