結果 (確率論)とは? わかりやすく解説

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結果 (確率論)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/26 07:35 UTC 版)

確率論における結果(けっか、英語: outcome)とは、試行によって起こり得る結果(状態・状況)のことである[1]標本点(ひょうほんてん、英語: sample point)ともいう。起こる結果は1つだけであり、故に異なる結果は同時に起こらない(互いに排反である)。試行の結果全体からなる集合を標本空間(全事象)という[2]

結果のいくつかを要素とする集合で、確率をもつと考えられるものを事象という。したがって、公理的集合論の立場から、結果と根元事象は異なる概念である。

例えば、コイントスを2回行う試行の場合、起こり得る結果は、表をH、裏をTで表すと、(H, H), (H, T), (T, H), (T, T) の4つであり、これらが標本空間を構成する。「コイントスを2回行う試行で、少なくとも1回表が出る」という事象は、(T, T) 以外の結果全てからなる集合である。

結果の条件による分類

多くある(または無数にあることもある)結果たちを条件によって分け、確率をもつ(と考えられる)集合のことを「事象」と呼ぶ。ホップの拡張定理より、事象空間は完全加法族であることを仮定する[3]

1つだけの結果からなる事象を根元事象という。試行の結果全体からなる集合を、その試行の標本空間という。1つの結果は、様々な事象の要素になる[4]

標本空間が高々可算集合の場合、標本空間の部分集合は事象である(つまり、標本空間の冪集合の全ての要素は、事象として定義される)。標本空間が非可算集合の場合、非可測集合である事象に対しては確率が定義できない。このような集合は事象から除いて考える。

事象の確率

標本空間が高々可算集合離散確率分布)の場合は、結果のそれぞれに、0〜1の確率が考えられる。標本空間が非可算集合連続確率分布など)の場合は、1つの結果の確率はふつう全て 0 であり、結果の集合である事象の確率を考えることに意味がある。

一部の混合分布英語版には、連続的な結果の分布といくつかの離散的な結果の両方が含まれる。そのような分布における離散的な結果はアトム (atom) と呼ばれ、0 ではない確率を持つ可能性がある[5]

結果の確からしさ

コイントスは、最も簡単な確率モデルの例である。
画鋲を投げた後の状態は、2つの結果が得られるが、それらの確率は等しくない。

確率空間には、試行の結果全てが互いに等確率であるもの(等確率空間)とそうでないもの(非等確率空間)がある。特に、結果が無数にある場合は非等確率空間である。

例えば、コイントスの場合、コインが表裏で全く歪みがない形(公正なコイン)と仮定すると、結果の表と裏は同じ確率で発生すると考えられる。このように、結果の確からしさが互いに等しいことを、「同様に確からしい」(equally likely) という。

一般的に、運が左右するゲーム英語版において使用されるランダム化ツール(例えばサイコロ、切ったトランプルーレットくじなど)は、全ての結果が同様に確からしいことが暗黙に仮定されている[6]。形の非対称性を考慮したり、意図的に、等確率性から逸脱するような仕掛けをする(例えばカードに印をつける英語版、重心が偏った不正なサイコロを使用するなど)と、等確率でなくなる。

連続型確率変数をはじめ、現実のほとんどの例は、同様に確からしくない。

例えば、画鋲を投げる試行において、ピンの状態が上向きか下向きかは、画鋲の形が対称でないことから、同様に確からしくない。

関連項目

脚注

外部リンク

  • ウィキメディア・コモンズには、結果 (確率論)に関するカテゴリがあります。


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