細菌性咽頭炎とは? わかりやすく解説

細菌性咽頭炎

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/14 10:11 UTC 版)

咽頭痛」の記事における「細菌性咽頭炎」の解説

かぜ症候群異なり急激に症状出現することが典型的である。咽頭炎症状としては急性の高熱喉の痛み腫れであり咳や鼻水少ない。原因としては60%がウイルス性であり、40%が細菌性であると言われている。重要な鑑別疾患としては伝染性単核球症ジフテリアHIV淋病亜急性甲状腺炎咽頭結膜炎などがあげられる。細菌性咽頭炎の場合はほとんどの場合化膿性レンサ球菌原因であるため、ほとんどの場合ペニシリン著効する(溶連菌ペニシリン感受性100%)。 細菌性咽頭炎はA群β溶血性連鎖球菌による感染症合併症対策として非常に重要である。合併症は非化膿性合併症化膿性合併症分類される。非化膿性合併症としてはレンサ球菌感染後糸球体腎炎IgA腎症急性リウマチ熱が重要である。化膿性合併症としては咽頭膿瘍中耳炎、副鼻腔炎壊死性筋膜炎がなどが知られている。糸球体腎炎IgA腎症以外は抗菌薬投与によって予防が可能であるとされている。咽頭炎後、翌日肉眼的血尿出現したIgA腎症2週間後ならば急性糸球体腎炎というところが小児科における典型的な病歴である。予防が特に重要な点リウマチ熱である。リウマチ熱抗菌薬頻用されるようになってから激減したリウマチ熱症状としては心炎、多発性関節炎舞踏病有縁紅斑皮下結節ここまでが大基準)、関節痛発熱血沈CRP上昇PR延長ここまでが小基準)などが知られている。小児期リウマチ熱発症老年期心臓弁膜症(特に僧帽弁狭窄症)を起こし心房細動血栓症(特に脳梗塞)を起こすことが知られており、予防が重要である。ジョーンズ基準世界的によく用いられており、大基準2つ、または大基準1つと小基準2つ満たしA群β溶血性連鎖球菌感染証明する方法咽頭培養A群β溶血性連鎖球菌迅速診断キットRapid Antigen testとしてクリアビューストレップAが有名)で陽性ASLO陽性にて診断ができる。高齢者弁膜症場合は、発症当時ジョーンズ基準がないため、注意深い問診が必要となる。A群β溶血性連鎖球菌以外の細菌性咽頭炎の場合抗菌薬投与して自覚症状わずかに軽減するのみであり、メリットほとんどないA群β溶血性連鎖球菌による咽頭炎診断は非常に重要であるためいくつかの診断法がある。centor criteria及びカナダルールが有名である。centor criteriaでは扁桃腺白苔圧痛を伴う前頸部リンパ節腫脹病歴発熱がある、咳を認めない、以上の4項目中3項目を満たせ感度75%,特異度75%でA群β溶血性連鎖球菌による咽頭炎診断できるゴールドスタンダード咽頭培養であるが、時間がかかるため実用的ではない。近年A群β溶血性連鎖球菌迅速診断キットRapid Antigen testとしてクリアビューストレップAが有名)で陽性ということで行うことも多く、この場合感度90.8%で特異度は96.0%である。カナダルールというものがよく知られている。熱が38度以上、咳がない、前頸部リンパ節腫脹認める、扁挑がはれている、または扁挑に浸出物がある、年齢が3~14歳であるという項目に対してイエスといった数を数える。なお年齢45歳上の場合は-1とする。合計点が1以下である場合は細菌性咽頭炎ではなく2点上である場合咽頭培養、または(感度落ちるものの)溶連菌迅速検査用いて検査後、ペニシリン投与して良いとされている。4点上の場合エンピリックペニシリン投与する場合もある。 化膿性咽頭炎治療抗菌薬投与であるが、これにはいくつかの考え方がある。それは伝染性単核球症との区別問題マクロライド耐性菌存在ニューキノロンによる結核の診断困難などがあげられる伝染性単核球症ペニシリン特にアモキシシリン投与によって皮疹出現してしまう。これは30歳以前に多いとされている。胸鎖乳突筋より前にある前頸部リンパ節圧痛がある場合は細菌性咽頭炎であることが多く胸鎖乳突筋より後方にある後頸部リンパ節圧痛があるばあいは伝染性単核球症である確率が高いと言われている。30歳以前ではバイシリンバイシリンG顆粒)というペニシリン製剤がよく利用される。これはアモキシシリンとは異なり皮疹起こすリスクが低いといわれている。それ以外クリンダマイシンアジスロマイシンミノサイクリン(但し20歳以後)が用いられることがある30歳以後では伝染性単核球症リスクが低いことからアモキシシリン商品名はパセトシン細粒サワシリン)も処方可能である。いずれにせよニューキノロン使わない方が安全である。

※この「細菌性咽頭炎」の解説は、「咽頭痛」の解説の一部です。
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