紙本著色浄瑠璃絵とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 文化 > 国指定文化財等データベース > 紙本著色浄瑠璃絵の意味・解説 

紙本著色浄瑠璃絵

主名称: 紙本著色浄瑠璃絵
指定番号 1906
枝番 00
指定年月日 1991.06.21(平成3.06.21)
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 絵画
ト書
員数 12巻
時代区分 江戸
年代
検索年代
解説文:  昨年指定した山中常盤絵【やまなかときわえ】」同様、牛若丸主人公にした古浄瑠璃正本【しようほん】を詞書ことばがき】とし、その内容絵画化した十二巻絵巻である。本図は、牛若丸浄瑠璃姫本図では「上」の字を用いる)の悲恋主題とした物語、『浄瑠璃』に題材取っている。
 物語絵画化するにあたり、特に前半では同一場面反復多用して叙述細部に至るまで逐一絵に表している。衣装器物殿舎には金銀泥【きんぎんでい】をはじめ多彩な顔料細緻極めた文様描き込まれ画面美しく装飾するとともに夢幻的な雰囲気高めている。また後半では、龍・雷神天狗などの怪異卑俗な姿に表す点に特色がある。
 人物の姿形など、本図描写の特徴は、「山中常盤絵」と同じく岩佐又兵衛勝以【いわさまたべえかつもち】(一五七八一六五〇)の作品に近い。越前藩松平忠直まつだいらただなおの子光吉転封となった先の津山藩松平家伝わったことも「山中常盤絵」と等しい(表紙題簽同様に当初のままである)。したがって本図もまた岩佐又兵衛工房制作推測されるが、「山中常盤絵」に較べて全体人物の描写類型的であることから、又兵衛自身仕上げまで担当した箇所はなく、すべて助手たちによる分担制作考えられるまた、山中常盤絵」が全巻十三からなり、詞と絵が当初から緊密に組み合わされ計画性をもつのに対し本図各巻紙数不揃いで、詞・絵とも完成後の本紙切って継ぎ合わせている箇所が多いことも、両者制作事情差異物語るものであろう。すなわち、本図においては、「山中常盤絵」よりも、又兵衛制作関与した度合いは低いと思われる制作時期は、画風又兵衛寛永十四年(一六三七)に福井から江戸下った事実とを考え合わせ、およそ寛永末年から正保慶安ころと推定される
 江戸時代初期異色絵巻として注目されるばかりでなく、ここに描かれる人物の顔貌姿態と金銀泥多用した濃密な彩色とは、特に「豊国祭図【ほうこくきいず】」(昭和三十六・六・三十指定重要文化財東京都徳川黎明会)と共通点が多いことから、又兵衛工房風俗画との関係を考え上で重要な作品ということができる。



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

紙本著色浄瑠璃絵のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



紙本著色浄瑠璃絵のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
文化庁文化庁
Copyright (c) 1997-2025 The Agency for Cultural Affairs, All Rights Reserved.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS