精通後初期の精液と妊娠の可能性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/27 03:02 UTC 版)
「精通」の記事における「精通後初期の精液と妊娠の可能性」の解説
精液は液体成分「精漿(せいしょう)」と細胞成分「精子」とで構成されており、前立腺でつくられる前立腺液や、精嚢でつくられる精嚢分泌液などの精漿の中に、精巣でつくられた精子が含まれたものである。精通後しばらくは、精子の生産がまだ活発ではなく透明で水っぽくなったり、精漿の生産がまだ活発ではなく非常に量の少ないものになることがあるが、各器官が発達するにともなって成人同様の白濁と粘り気をもつようになる。 1985年にポーランドで発表された論文によれば、12歳8か月から19歳11か月までの思春期の少年134人から精液を採取し、うち112人からは1~2回(平均1.3回、合計150サンプル)、残り22人は継続調査をして3~4か月間で4~10回(平均5.6回、124サンプル)精液を採取する調査が行われた。 この調査の結果、精液の量・濃度、正常な精子の割合や運動性など、妊娠に至る能力に関する統計値は、精通からの期間と強い関連性を示すことが明らかになっている。 それによると、 精通時の精液(初精) 量が少ない およそ90%の被験者の初精は精子をまったく含まない 3か月目まで 量は1ミリリットル未満 透明なものが多い 5か月目まで 精子をほぼ含まない 6か月目以降、20か月目ごろまで 精子の量が徐々に増えてゆく 含まれる精子のおよそ97%は運動性を欠く。残りの3%は異常な運動をする。妊娠に至る能力のない「精子無力症」の状態 21か月目から23か月目 運動性精子の割合がほぼ成人同様となる 24か月目以降 成人男性のものと同等になる 「メルクマニュアル」の名でも知られる医学百科のMSDマニュアル(家庭版)では、青年期の中期(12歳半~14歳頃)に射精できるようになるとしつつ、妊孕性(女性を妊娠させる能力)については、青年期の後期になるまで獲得されないと明記しており、精通して間もない男児が女性と性交し膣内射精したとしても、妊娠させる可能性は相対的に低い。 ただし性的発達には個人差も大きい。特に、精通から6ヶ月も経てば(精子の運動性に問題が有るとはいえど)精子濃度自体は2000万/mLに、射精量も12ヶ月で2.5mLに達し、これは男性不妊の診断基準値(濃度1500万以下/mL、射精量1.5mL以下)を上回る。イギリスで起きた13歳の父騒動でも、子供の父親は性交当時14歳の誕生日を迎えたばかりの少年だった。 思春期の精液の発達精通からの月数平均射精量(ミリリットル)液化平均精子濃度(1ミリリットルあたり)0 0.5 しないa 100万以下 6 1.0 しないa 2000万 12 2.5 部分的b 5000万 18 3.0 するc 7000万 24 3.5 するc 3億 ^a 精液はゼリー状で、液化しなかった。 ^b ほとんどのサンプルが液化した。いくつかは、ゼリー状のまま。 ^c 精液は1時間以内に液化した。
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