米軍による内部調査から、世間の関心を集めるまで
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「アブグレイブ刑務所における捕虜虐待」の記事における「米軍による内部調査から、世間の関心を集めるまで」の解説
この事件について陸軍のジョセフ・ダービー兵長による内部告発があったのは2004年1月のことだった[要出典]が、2003年には既にアムネスティ・インターナショナルやAP通信が、米管理下にあるアブグレイブ刑務所における深刻な人権侵害の疑いを指摘していた。また、2003年11月には米軍の報告書でもアブグレイブ刑務所における人権問題が指摘されていた。その付近[どこ?]にいた兵士らの間では当時[いつ?]から虐待の噂が流れていたが[要出典]、陸軍が内部調査を開始したのは2004年1月の告発の後[要出典]だった。 内部調査の開始は、大手報道機関が報じてはいたが、ほとんど目立たなかった。米軍による深刻な人権侵害に広く人々の耳目が集まったのは、イラク人への虐待の実態を如実に示す衝撃的な写真を何点も放映した4月28日のCBSの「60 Minutes II」以降のことである。なお、日本国内では、当初はインターネット経由などでしか情報が届かず、国内の大手報道機関がアブグレイブ刑務所での被収容者虐待について報道したのは、CBSの番組放映から1週間後の5月のことであった[要出典]。 そのとき既に、米軍は非公開(機密文書指定)の内部調査報告書をまとめていたが(詳細は後述)、これが何らかのルートで、米誌「ザ・ニューヨーカー」で書いているジャーナリストのシーモア・ハーシュにリークされた。報告書の内容は、5月10日号掲載(オンライン版では現地時間で4月30日にアップロード)の記事で明らかにされた。その後、オンラインで公開された報告書は米軍の行動について極めて批判的で、「2003年10月から12月にかけて、複数の収容者に対して」行なわれた虐待は「組織的かつ違法」であるとはっきりと指摘している。米ブッシュ大統領は「一部の者たちの行為は、軍全体の行動を反映するものではない」と主張して組織的関与を否定したが、アラブ連盟事務局長は戦争犯罪と非難[要出典]。さらに5月5日には、ブッシュ大統領は「不快感を持っていることを知ってほしい」と個人的な感想を述べたが、同時に「民主主義は完全なものではない」とも言い、謝罪はなかった。 また、ハーシュの記事では、虐待を行ったとして、最終的に禁固8年の上、不名誉除隊に処せられたイヴァン・フレデリック軍曹が、家族への手紙やメールで、アブグレイブ刑務所内でCIA職員や民間の軍事企業の社員を含む軍情報チームが支配的であると語っていたことも述べられている。 2月の内部調査報告書をまとめたアントニオ・タグーバ少将は、5月11日、米議会の上院軍事委員会の公聴会に呼ばれた際に、アブグレイブでの虐待に軍の情報部門が関与している証拠を集めたと述べ、少将が行った刑務所の運営方法に関する調査だけでなく、情報収集や尋問方法に関する調査を別途行うよう勧告したことを明らかにした。少将は2007年1月1日に退役を余儀なくされた後、米軍による虐待に関する活動を行っている。 5月7日に議会で宣誓の上、「アブグレイブであのようなことが起きているとは知らなかった」との証言を行ったラムズフェルド国防長官は、その前日の6日にタグバ少将を呼び出した際、報告書のリーク元について特に気にしており、心当たりはないかと質問していたという。
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