米空母被弾
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/02 06:32 UTC 版)
6時55分、日本軍第1次攻撃隊は第17任務部隊(空母ホーネット、重巡2、防空巡2、駆逐艦6、直衛戦闘機38)を発見、ホーネットに攻撃を集中した。エンタープライズ隊はスコールの下にあって、攻撃を受けなかった。まず瑞鶴艦爆隊第二中隊が攻撃し、1発目の爆弾は至近弾となり、2発目は飛行甲板中央部に命中。さらにこの後爆弾2発が命中した。続いて第一中隊と第三中隊が攻撃、爆弾は命中しなかったが被弾した佐藤兵曹長機がホーネットの煙突前部に突入し火災を生じさせた。その後、翔鶴の艦攻隊が攻撃を実施し、ホーネットの右舷の前部機械室と対空砲弾庫付近に魚雷が命中した。被雷による浸水でホーネットは全動力を失い停止した。また付近にいた護衛艦艇も攻撃を受け、雷撃機1機は重巡ペンサコラを攻撃したが魚雷は外れた。被弾した雷撃機はペンサコラに突入を試みたものの、艦首外側数メートルの海中に墜落した。また駆逐艦アンダーソンは雷撃機から機銃掃射を受けたものの目立った被害はなかった。 日本軍攻撃隊は7時20分には引き上げ、海上ではホーネットが激しく炎上していた。同艦は電気系統の全滅により消火ポンプが使用不能であったため消火器やバケツリレーによる消火作業が行われ、さらに駆逐艦モリス(英語版)、ラッセル(英語版)、マスティンによる消火作業の支援により8時ごろまでにはほぼ消火に成功した。重巡洋艦ノーザンプトンが依然航行不能であったホーネットの曳航を開始したが、曳航索が切れ作業はやり直しとなった。日本軍第一次攻撃隊はホーネットに重大な損傷を与えたものの、大損害を受けた。零戦5、艦爆17、艦攻16(翔鶴〈零戦2、艦攻16〉、瑞鶴〈零戦3、艦爆17〉)を喪失。戦死者には攻撃隊指揮官村田重治少佐も含まれる。瑞鶴飛行隊長高橋定大尉の艦爆と僚機は被弾損傷と燃料切れで墜落し、高橋大尉はタンカー玄洋丸に救助された。また不時着により艦攻6機、艦爆5機、零戦2機が失われた。これは後述の翔鶴と瑞鳳の被弾損傷により収容可能艦が瑞鶴のみとなり、燃料切れで不時着した機が多数あった為である。また生還しつつも誘導の失敗により帰投できなかった機が2機あったという。 日本側第2次攻撃隊は、8時15分に健在の第16任務部隊(空母エンタープライズ、戦艦サウスダコタほか)と、炎上漂流中のホーネットを発見する。先に到着した翔鶴艦爆隊は無傷のエンタープライズに攻撃を集中し、直撃弾を与えた。また翔鶴艦爆隊が到着する直前の8時1分、不時着したエンタープライズの雷撃機の救助に向かった駆逐艦ポーターに雷撃機から誤って発射された魚雷が命中した。ポーターは航行不能になり僚艦の砲撃により処分された。8時35分、遅れて発進した瑞鶴雷撃隊はエンタープライズに魚雷を発射したが命中しなかった。被弾した艦攻1機は駆逐艦スミス(英語版)に体当たりした。艦攻が搭載していた魚雷が爆発し、砲塔付近にあった弾薬が誘爆して大火災が発生した。しかし艦長の判断で付近を航行中の戦艦サウスダコタに接近し、サウスダコタの艦尾波でスミスは奇跡的に消火に成功した。日本軍第2次攻撃隊はエンタープライズ等に損害を与えたものの、未帰還(艦攻9機、艦爆10機、零戦1機)、不時着(艦攻1機、艦爆2機、零戦1機)、合計24機(零戦2、艦爆12、艦攻10)を喪失した。サウスダコタは対空砲火で日本軍機26機撃墜を報じた。
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