米焼酎(こめしょうちゅう)
コメを原料とした焼酎。代表的なものに沖縄の泡盛と熊本の球磨焼酎があるが、それぞれ製法も違い、香味にも特色があり、伝統と風格を持っている。泡盛は原料の外砕米を全部黒麹にして、一度で醪(もろみ)の仕込みを終わるのが特徴で、蒸留機は直火式の兜型(かぶと)が多い。昔から長期間熟成させた古酒(くーす)が最高品とされており、油臭の消失や南蛮がめでの熟成など、長い間培われた伝統の輝きがみられる。一方、現在の球磨焼酎は白麹菌でつくったコメ麹に水を加えて醪として、充分アルコール発酵させた後、蒸留、貯蔵するのが一般的である。しかし、大正二年までは黄麹に玄米や粗白米を加えて清酒の生もとに当たる醪をつくり、発酵が終わったところで木炭を加えた後、蒸留した。この醸法は肥後の赤酒や薩摩の地酒とともに「延喜式」にある黒貴に近く、また、清酒の酒母を泡盛式に蒸留したもので、当時としては各地から伝わってくる酒つくりの方法を集大成したものなのであろう。第二次大戦を契機に外砕米となり、麹菌も黒麹菌使用の方法にかわっていたが、現在では白麹菌を使っている。外砕米は90%前後に精米してあるが、非常に吸水しにくい硬質米なので二度蒸しを常法としていたが、泡盛では「シー(しー)汁」法の歴史がある。昭和四五酒造年度から沖縄県以外は外米の輸入が制限されたため再び内地米となり、昔の姿に戻りつつあるが、主食米との関係で価格や米質などに新たな不安もある。最近は減圧蒸留法を取り入れた淡麗な焼酎が多くなり、若者など焼酎党の開拓に威力を発揮しているが、この近代型に精製された焼酎は、香味の少ない焼酎甲類への接近を早めているのも事実である。風土の特産である泡盛や球磨焼酎にとって、伝統ある豊醇な風味の常圧型をどうやって守っていくか。このことは、本格焼酎全般の緊急の課題でもある。
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