米溪新(こめたに あらた)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/02 15:41 UTC 版)
以前、〈私〉に「地獄が見える欄間」について話を寄せた男性。実家に送られた〈私〉の手紙を家族が転送してくれたため、出張で大阪に来ることになって改めて〈私〉に問題の欄間について語った。愛知県某所にある米溪家本家は元は豪農だったが、祖父の祖父である高祖父が事業に失敗して家は傾いたため、普通の兼業農家になったという。本家には天然木の一枚板を両側から別の絵柄で透かし彫りにし、片側が飛龍、もう片方が雲烟棚引く山峡の風景になった2枚が1組になった見事な欄間があったが、奥山家とおぼしき炭鉱王から譲り受けたものであり、その欄間を透かして仏間を覗くと地獄が見えると言い伝えられ、不審火で小火が出たりした。また就職した年の末に正月を本家で迎えるべく例年のように到着するが、年末ギリギリまで出勤していたので既に他の部屋が集まった親戚の寝所になって他に空きが無かった。仕方なく仏間の次の間で、嫌いな表座敷で寝る羽目になってしまった。その夜に呻き声のようなものが混じった地下鉄の風のような不気味な風の音を聞き、金縛りに遭って動けなくなったため、気味が悪いから2度と本家の座敷では寝ないと決めたことを翌朝起こしに来た従兄に告げた。父親の兄である伯父の息子、本家で家族で暮らす4歳年上の巨漢の従兄は座敷の一夜を聞いて「仏間というのは、仏さんのいる場所の筈だが…」と首を傾げていた。本家の座敷は親戚一同に不評で誰もが避けており、他ならぬ従兄も背が抜きんでて伸びて背伸びすれば欄間を覗けるため、そちらを見ないように父親に厳命されていた。更には、従兄が大学時代に東京の下宿先で黒い人影の不気味な声を聞き、お祓いを受けて引っ越すも治療法の無い難病を患い療養していた本家で亡くなった。早逝したため、音がつきまとったかは不明である。従兄が住んでいた問題の下宿は変な声がするので有名であり、他にも体調を崩したり頭がおかしくなって実家に戻ったりする学生がいた。しかし、米溪家自体に災厄が降りかかったというわけではないらしく、男ばかり4人兄弟の従兄を除く3人は無事であり、彼の父親である伯父と米溪の父親を含めた6人兄弟もまた元気に暮らしており、中には事業を興して成功した人物もいるとのことである。
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