米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の交渉
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「ヘスス・セアデ」の記事における「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の交渉」の解説
アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール現大統領が2018年7月1日にメキシコ大統領選で勝利を挙げた後、セアデは北米自由貿易協定(NAFTA)改定の交渉官に任命され、当初エンリケ・ペニャ・ニエト前大統領政権の交渉チームとともに交渉に加わった。米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の交渉は2018年9月30日に実質合意に達し、2018年11月30日にアルゼンチンにて、メキシコのエンリケ・ペニャ・ニエト大統領(当時)、米国のドナルド・トランプ大統領、カナダのジャスティン・トルドー首相により署名された。しかし、2018年11月に行われた米国の中間選挙において下院で民主党が過半数を奪還したことを受け、同国内における批准プロセスが滞った。過半数を占める民主党側が提起した主な問題点について、3カ国が受容でき満足できる形での解決策を見出すため、限定的に交渉プロセスを再開させる必要性が生じた。 ロペス・オブラドール大統領は北米担当外務次官を務めるセアデを交渉官として再度任命し、交渉におけるいかなる調整もメキシコとって良い形となるよう留意し、またUSMCA批准を推し進めることを主な任務とした。同時に、米国とのすべての貿易交渉、特に米国・メキシコ両国におけるUSMCA批准への明らかな障害となっていた1962年通商拡大法232条(安全保障条項)に基づくメキシコの鉄鋼・アルミニウム輸出への関税について、責任を委ねた。 2019年4月に本件解決を任された時にはすでに1年が経過しており、メキシコの鉄鋼・アルミニウム産業に影響が多く出ていたが、3週間に渡る集中的な交渉を経て、両国にとって完全に満足のいく解決に辿りついた[4]。また、協定の全分野においてメキシコ側がコミットメントを遵守するかどうか確証を得るため、説得力があり信頼性の高い規定を求める連邦議会からの要求に対する困難な交渉が同年中に行われたが、既に合意がなされていた内容への最低限の介入に留めた形で合意に辿りつき、結果として三カ国にとってより良い改善が得られることとなり、NAFTAでは当時から直面していた技術的問題により規定されなかった、均衡を保ちつつも拘束力のある法律に基づく国家間紛争解決制度が構築された。 メキシコ上院は2019年6月19日に最初に交渉されたUSMCAの批准法案を賛成114、反対4、棄権3の賛成多数で可決し、同年12月12日にUSMCA修正案を上院の審議で賛成107、反対1、棄権0の圧倒的多数で可決した。米下院は2019年12月19日にUSMCA実施法案を賛成385、反対41で可決し、2020年1月16日に上院が賛成89、反対10の賛成多数で可決した。最後に、カナダ議会が2020年3月13日に全会一致で実施法案を承認した。 メキシコではUSMCAは非常に異なる党派から派生した二つの政府により交渉され、大多数で承認された。米国では両党により強く支持され、議会の両院で大多数の賛成を得て可決。カナダ議会では全会一致で承認された。このように、本新協定は三ヶ国すべてで幅広い支持と政治的合意が得られているものであることは明らかであり、保証されたものである。
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