空港が抱える問題点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 18:26 UTC 版)
空港の南から進入あるいは南へ離陸する際に、市街地(中央区、博多区、大野城市、春日市など)低空を航空機が頻繁に飛行する。また、北からの進入・北へ離陸する際にも、九州大学箱崎地区跡地周辺の市街地上空を低空で飛行する。航空機の技術的進歩で1機あたりの騒音は減少しているが、便数増大に伴い騒音レベルは1980年代からほぼ横ばいのままである。 本来は24時間運用の空港であるが、空港周辺が市街地化しており騒音問題・周辺環境への配慮等から、緊急時の海上保安庁、自衛隊機等の使用やダイバートを除き、滑走路の利用時間帯は7時から22時(ただし、定期便の遅延便が多数発生した場合は、利用時間を延長する)。定期便は22時までに着陸しなければならないため、深夜の航空貨物便等の就航ができず、一番需要の多い東京 - 福岡便の羽田発最終便の出発時刻が20時となっている(福岡空港発羽田行き最終便は21時30分発である)。 発着回数の面では、2012年に遅延がなく運用できる目安である滑走路処理容量を超えた。混雑時は2分17秒程度毎に離着陸が行われており、滑走路1本あたりの年間離着陸回数は、日本一である。2016年には航空法に基づく混雑空港に指定された。なお、1968年の九州大学電算センターファントム墜落事故や、1996年、離陸時にオーバーランし滑走路を飛び出した後炎上したガルーダ航空機離陸事故など2010年までに3回の航空事故が発生している。 福岡市やその周辺には航空法に定める制限表面による高さ制限があり、都心部での超高層ビルの建設が不可能となっている。JR博多駅周辺やキャナルシティ博多辺りでは60m、天神で110m程度、西部副都心のシーサイドももちで150m程度 など、空港から半径16.5kmに至るまで徐々に高さ制限が緩和され、24kmより外側で制限がなくなる。高層ビルが福岡都心部にはなく副都心のシーサイドももち(福岡タワー〈234m。但し展望室部分は123mで、それより上はアンテナ〉・ヒルトン福岡シーホーク〈143m〉等)や香椎・千早・アイランドシティにはある。さらに、かつてのBSアナログ放送などの放送電波と干渉をきたし電波障害を発生させるなど、福岡空港の立地は利便性が高い反面、都市計画や市民生活への悪影響も与えている。 なお、移転補償費・住宅防音対策工事・テレビ受信障害対策などの環境対策のために空港周辺整備機構が設置され、対策費として年間約74億円(2006年度実績)を支出している。また、空港用地にはほぼ1/3を占める民有地が存在(後述)し、その土地を空港に供するために年間約80億円の賃借料が発生し大幅な赤字をまねく原因ともなっている。
※この「空港が抱える問題点」の解説は、「福岡空港」の解説の一部です。
「空港が抱える問題点」を含む「福岡空港」の記事については、「福岡空港」の概要を参照ください。
- 空港が抱える問題点のページへのリンク