石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞受賞 補足
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「萩尾信也」の記事における「石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞受賞 補足」の解説
萩尾信也は、2003年に第3回「石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞」を受賞した。受賞作品は、新聞に連載された「生きる者の記録」。応募総数119件の中から「文化貢献部門」で、佐藤健と萩尾以下取材班の大賞受賞だった。 同賞は、建学以来「学問の独立」という理念のもと、進取の精神で理想を追求する優れた言論人、ジャーナリストを多数輩出してきた早稲田大学で、ジャーナリストの育成、支援、発掘、表彰に寄与することを目的として2000年(平成12年)に制定された賞である。表彰は2001年(平成13年、第1回)から。賞の名称は、同校卒業生でジャーナリスト、エコノミスト、政治家、首相として活躍した石橋湛山(いしばし たんざん)の名前を冠としている。時代の流れにおもねることなく、自由主義に基づく高い理想を掲げ、独立不羈(ふき)の精神で優れた言論活動を展開した石橋湛山を、早稲田建学の理念を体現した言論人であるとしている。 萩尾の大賞受賞に先立ち、選考委員を代表し大賞作品について講評したノンフィクション作家・佐野眞一氏は、「人権問題や記者クラブ制度の弊害など、現在、ジャーナリズムは危機的状況にある。21世紀は既存のジャーナリズムが冬の時代を迎えるだろう。それを何とかして突破しようとする意志が感じられた。私の尊敬する民俗学者・宮本常一の言葉に『記憶しなければ記録にとどめられない』という言葉があるが、私はこの言葉を自分なりに『記録しなければ記憶にとどめられない』と読み替え、自分に言い聞かせてきた。大賞3作品ともに、我々が記録しなければ我々の時代は将来残らない、次代の人に記憶として刻まれないのだという志の高さを感じた。紙の碑、映像の碑を、この非常に不透明な虚無感の漂う時代に作り上げていくのは大変困難なことであるが、それをやってのけた受賞者に改めて祝福の言葉を贈りたい」と称賛した。 また、萩尾の受賞作品(「生きる者の記録」佐藤健と取材班)について、石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞・受賞作品詳細(第3回)公式サイトでは、「末期ガン闘病記はとくに珍しいものではない。現役の新聞記者が自分自身の病いを題材にして同時進行ルポを書くという企画に疑問がないでもない。しかし、これが『単なる感傷的な読物に終わらなかったのは、当人をサポートする取材班の客観的な視点と多くの読者からの反響と後押しであった。読者をも巻きこんで死生観について考えてみるという双方向的な紙面作りは、新聞の新しい可能性を探ったもの』といえる。一人の死が生へのエネルギーをも揺り動かすということで、この企画は充分に意味を持った。」と大賞の贈呈理由を述べている。
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