現代の課題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/03 20:58 UTC 版)
大きな課題は、設備の老朽化と、後継者不足である。丹後地域の織機の大部分は、使用年数が40年以上に及び、破損した部品は、使用していない織機から補ってしのいでいる現状である。この対策として、京都府や地元自治体は、製造設備更新や導入にあてる費用を補助する事業を展開している。 後継者の不足はさらに深刻で、丹後地方には2016年時点で800社以上の織物製造企業があるが、その約9割で後継者がいない。職人の平均年齢は65歳を超えており、技術継承が危ぶまれる段階に達している。もともと丹後ちりめんは零細企業が多く、世の景気変動の波をまともにかぶる市場構造をもっているがために、機業は3代は続かないと評されてきた。丹後地域の機業の盛衰を機業戸数や機台数だけでみれば、1868年(明治元年)から1943年(昭和18年)までの機業戸数はおよそ千数百台で安定しており、機数は着実に増加してそれなりに発展してきたように見えるが、これは丹後機業全体の数字のマジックであって、個々の機業家で3代続いた家は稀である。 後継者が育たない原因のひとつには織工賃が低すぎることがあるとされ、2014年(平成26年)に丹後絹織物最低工賃が改正され、後染め織物では平均14.4パーセント、西陣帯などの先染め織物では平均45パーセント、引き上げられた。2020年に迎える丹後ちりめん創業300年の事業実行委員会では、若い世代が産地のプロモーションにつながることを期待し、学生と事業者の協同による商品開発に取り組んでいる。 2008年(平成20年)に「丹後・知恵ものづくりパーク」内に移転した京都府織物機械金属振興センターでは、これらの課題に対して、技術相談や人材育成のための研修会を実施するとともに、丹後織物のブランド化事業や、炭素繊維の研究、デザインソフトによる図案集の作成など、様々な研究開発を行い、事業所への技術移転につなげる取組を行っている。
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