現代の調停
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/18 04:53 UTC 版)
紛争解決そのものを目的としない、一般的条約の中にその条約の解釈、適用を巡る紛争に関する規定が定められることがあり、その中に調停手続きが定められることがある。例えば条約法に関するウィーン条約(第66条(b)、附属書)がこれに当たる。また海洋法に関する国際連合条約では、当条約の解釈、適用に関する紛争の解決手続きのひとつとして調停を定めた(第284条、第297条第2項(b)、第3項(b)、第298条第1項(a)、附属所V)。市民的及び政治的権利に関する国際規約第42条も特別調停委員会について定めている。これらのように条約によってあらかじめ一定の条件の下で調停に付託することが義務付けられていることもあれば、紛争当事国が合意によって任意に調停が利用されることもある。条約に調停付託義務と裁判付託義務との双方が定められる場合には、法的紛争を裁判手続きに、それ以外の紛争を調停手続きに付託することとし、法的拘束力のない調停委員会の勧告に紛争当事国が従わない場合にも裁判手続きへの付託が義務付けられることもある。調停に付託される紛争は、紛争の性質によっては法的基準で解決されることが求められることも多いが、裁判手続きと違い政治的要素が考慮されることが完全に排除されるわけではない。調停委員会が示す解決案に法的拘束力がないことも裁判手続きと異なる点である。しかし実際には、調停委員会の設置や委員会の手続きが仲裁裁判とほとんど変わらなかったり、紛争当事国の意見聴取などが裁判手続きと同じように対審で行われることもあり、調停が実質的に裁判手続きに類似することも多い。2020 年9月12日、国際的な調停による和解合意に関する国連条約、通称「シンガポール調停条約」が発効され、シンガポール調停条約の加盟国においては、一定の条件を満たす「国際的な和解合意」の強制執行が認められることとなった。
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