現代の貨幣論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 06:42 UTC 版)
WTO加盟によって貿易黒字が拡大すると、人民元の切り上げを求める声がアメリカ・日本・ヨーロッパで高まり、切り上げについて論議を呼んだ。主な論点は(1)人民元は割安か。(2)切り上げのメリットとデメリット。(3)望ましい為替制度の3点となる。それぞれの論点をみると、(1)中国社会科学院によれば、人民元レートが6〜10パーセントほど割安だと推計されている。(2)メリットとしては効率的な為替レート・金融政策の自由度・購買力の上昇・市場に対するアナウンス効果がある。デメリットとしては国外の需要と輸出の減少・海外からの直接投資コストの上昇・短期的な失業問題などがある。(3)ドルペッグには限界があり、代わりとなる為替制度が求められる。しかし完全な変動相場制には賛成論者は少ない。世界金融危機後は、いち早く中国が回復したために人民元の切り上げを予想した投資資金が流入して、再び人民元切り上げが論議された。論点には、米中間の貿易不均衡によるグローバル・インバランスも含まれるようになった。
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