マーズ・ローバー

マーズ・ローバー(Mars rover)とは、火星着陸後に火星表面を自動で走行するローバーの総称。日本語では火星探査車とも呼ばれる。
ローバーは着陸地点から移動しないランダーに比べ、いくつかの利点が存在する。例えば、より広い範囲を探査できること、興味深い物体に近寄れること、太陽電池による発電を効率よくするために日当たりのよい場所に移動できること、などである。
火星に着陸して運用に成功したローバーは2021年現在6台のみで、アメリカによるもの5台と中国によるもの1台である。
火星探査車一覧

2021年5月までに計8台のローバーが火星に送られた。
マルス2号および3号はソ連によって打ち上げられ、ともに同一設計の「Prop-M」ローバーを搭載していた。4.5kgの機体はランダーとケーブルでつながれており、機体下部の左右に取り付けられたスキー板のようなもので移動する予定だった。しかしマルス2号は地表と激突[1]、3号は着陸から1分と経たずに通信が途絶してしまった[1]。
ソジャーナ - マーズ・パスファインダーに搭載。1997年7月4日に着陸成功。1997年9月27日に着陸機の故障により通信途絶。
スピリット(MER-A) - マーズ・エクスプロレーション・ローバーの一台。2004年1月4日に着陸成功。約6年後には7.73kmを走破したが、ホイールが砂にはまってしまった[2]。2010年1月26日時点でNASAは救出作戦に失敗したことを認め、定点観測プラットフォームとして機能していると述べた[3]。2010年3月22日にローバーからの通信が途絶した。復帰が試みられたが失敗に終わった[4]。
オポチュニティ(MER-B) - スピリットと同じくマーズ・エクスプロレーション・ローバーの一台。2004年1月25日に着陸成功。火星を覆う不透明度10.5の大規模砂嵐により太陽電池での充電ができなくなり、2018年6月10日に通信途絶。
キュリオシティ - マーズ・サイエンス・ラボラトリーに搭載。2012年8月5日に着陸成功。2火星年の運用を経て、現在も運用中。
パーサヴィアランス - マーズ2020 - ミッションで2020年7月30日に打上げ。火星ヘリコプター「インジェニュイティ」も搭載し、2021年2月19日に着陸成功。
祝融号 - 天問1号に搭載。2020年7月23日、海南省の文昌航天ロケット発射場から長征5号により打ち上げられ、2021年2月10日20時頃 (CST) - 火星周回軌道投入、5月15日午前-火星への軟着陸に成功し、火星表面の気候や土壌などを調査する予定である[5]。
以下のローバーは開発が中止された。
MAX-C:Mars Astrobiology Explorer-Cacherに搭載。NASAは2018年の打上げを予定していた。
以下のローバーは開発中である。
- ロザリンド・フランクリンの名を冠したESAのローバーは、2022年の打上げを予定している[6]。

火星着陸地点


脚注
- ^ a b “Mars 2 Lander”. NASA NSSDC. 2008年6月25日閲覧。
- ^ Boyle, Alan. “Good moves on Mars” (英語). MSNBC 2010年1月22日閲覧。
- ^ Times, International Business (2010年1月26日). “NASA concedes defeat in effort to free rover” (英語) 2010年1月26日閲覧。
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に無意味な名前が入力されています。 (説明)⚠ - ^ Mars Exploration Rover Mission (NASA/JPL)
- ^ “中国の火星探査機「天問1号」、打ち上げ成功”. Astro Arts. (2020年7月27日) 2020年8月2日閲覧。
- ^ “ExoMars Rosalind Franklin: Rover mission delayed until 2022” (英語). BBC News. (2020年3月12日) 2021年2月1日閲覧。
関連項目
- マーズ・エクスプロレーション・ローバー
- マーズ・エクスカーション・モジュール
- 火星の生息地
- 有人火星探査車
- マーズスーツ
- 火星着陸
- Comparison of embedded computer systems on board the Mars rovers
- Radiation hardening
外部リンク
火星探査車(パーサヴィアランス)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/10 15:22 UTC 版)
「マーズ2020」の記事における「火星探査車(パーサヴィアランス)」の解説
詳細は「パーサヴィアランス」を参照 パーザヴィアランスはキュリオシティとデザインが似ているため、キュリオシティの設計チームの助けを借りて開発された。火星での探査中に亀裂が生じたキュリオシティの車輪はデザイン変更され、パーサヴィアランスの車輪は厚く丈夫なアルミ製となっている。走行性能向上のため車輪の直径は大きくなり(パーサヴィアランス: 52.5 cm、キュリオシティ: 50 cm)、幅はやや狭くなった。車輪は滑り止めの溝で覆われており、チタン製のスポークでハブに固定されている。パーサヴィアランスの重量(1025 kg)は、科学機器ペイロードの増加と、新たに搭載されたサンプル採取設備により、キュリオシティの重量(899 kg)よりも14%増加している。サンプル採集設備はロボットアーム、タレット、ACA(Adaptive Caching Assembly)から構成される。ロボットアームは5自由度であり、全長は 2.1 mである。手先に付いたドリルアセンブリー(タレット)との組み合わせにより、サンプルを採取したり、分析を行う。タレットにより採取されたサンプルはローバー内部にある複雑な向上のようなシステム(ACA)へと受け渡され、ACAがサンプルをチューブへと詰め、検査し、密封し格納、最終的には火星地表に置く。パーサヴィアランスにはキュリオシティの予備品であった放射性同位体熱電気転換器(MMRTG: Multi-Mission Radioisotope Thermoelectric Generator) が用いられており、ローバーに電力を供給する。供給電力は探査機打ち上げ時で110Wであり、時間が経過するに連れ、徐々に低下する。2つのリチウムイオン電池が電源として搭載されており、ローバーの使用電力がMMRTGの供給電力を超える際にも活動を継続することが出来る。
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「火星探査車」の例文・使い方・用例・文例
- 火星での探査用に設計された,同型の火星探査車(MER)2台のうちの1台目だ。
- 2台目の火星探査車「オポチュニティー」は6月28日に打ち上げられ,2004年1月25日に火星に着陸することになっている。
- 1月4日,米航空宇宙局の火星探査車「スピリット」が,火星表面への着陸に成功した*。
- 1月に火星に着陸したNASAの2機の火星探査車のうちの1機であるオポチュニティーが,火星の岩石に水の痕跡を発見したのだ。
- 火星探査車が大型いん石を調査
- アメリカ航空宇宙局(NASA)の火星探査車「オポチュニティ」が先日,史上最大のいん石を発見した。
- 火星探査車のページへのリンク