湖畔亭事件
作者江戸川乱歩
収載図書黒蜥蝪・湖畔亭事件 〔新装版〕
出版社春陽堂書店
刊行年月1987.11
シリーズ名江戸川乱歩文庫
収載図書湖畔亭事件
出版社講談社
刊行年月1988.3
シリーズ名江戸川乱歩推理文庫
収載図書湖畔亭事件 〔復刻版〕
出版社春陽堂書店
刊行年月1993.11
シリーズ名創作探偵小説集
収載図書湖畔亭事件―乱歩傑作選 9
出版社東京創元社
刊行年月1995.8
シリーズ名創元推理文庫
収載図書江戸川乱歩全短篇 2 本格推理
出版社筑摩書房
刊行年月1998.6
シリーズ名ちくま文庫
収載図書孤島の鬼
出版社角川書店
刊行年月2000.12
シリーズ名角川ホラー文庫
湖畔亭事件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/13 03:00 UTC 版)
『湖畔亭事件』(こはんていじけん)は、江戸川乱歩が発表した長編探偵小説。
概要
1926年(大正15年)1月から5月まで、『サンデー毎日』に掲載された。乱歩は同時期に『闇に蠢く』、『空気男』と『湖畔亭事件』の三本の長編小説を連載していたが、他の二編は中絶したため(『闇に蠢く』は単行本化の際に結末が加筆されて完結した)、たびたび休載したが初めて完結させた長編小説となった[1]。
あらすじ
レンズ狂の「私」は療養のためにH山中のA湖畔にある湖畔亭に逗留していた。刺戟のなさから凝った仕掛けのレンズを通して、女湯の覗き見を始めたが、ある日、脱衣場で女が刃物で襲われる現場を、レンズを通して目撃する。だが脱衣場では死体は発見されず、大量の血痕が残っていた。その後、昨夜に湖畔亭を訪れていた芸者の長吉が戻っていない事が判明し、「私」は同宿していた洋画家の河野とともに、犯人を探しはじめた。
数日後。河野が村の駐在所の警官と話していた。警官は、湖の向こう側の村人が、火葬場の匂いがすると言っていた事を話す。河野は、湖畔亭の湯殿の窯で人を焼けば、風に乗って湖を超えて匂いがその村まで流れ着くと指摘する。そして河野は、犯人が風呂焚の三造が寝泊まりしている部屋で発見した短刀を見せ、犯人が三造だと話す。また三造は人の物を盗む悪癖があり、部屋には盗まれた多くの物が残されていた。「私」は河野と警官とともに三造を捕まえに行くが、三造が崖から転落して死亡しているのを発見し、事件は解決した。
私は帰路の列車の中で、偶然、河野の鞄の中に大量の札束と注射器を見つける。鞄の中を見られた事を悟った河野は、私に事件の真相を打ち明ける。実は河野と長吉は幼馴染で、長吉は死んでいなかった。事件のあった日、逗留していた二人の男の部屋で長吉は偶然トランクの中身が札束であることを知り、長吉は男達に追われていた。河野は「私」が風呂場を覗いていることを知っていたので、覗きの仕掛けの前で長吉殺害の演技をし、風呂場に自分と長吉とから少しずつ抜き取った血を残して長吉が死んだように見せかけて逃げる計画を立てたのだった。男達はトランクを山中に隠して逃げたが、三造が偶然にこれを発見して回収していた。三造はトランクを窯で焼いたので、この匂いが火葬場のような匂いとなったのだった。警察の疑われていると知った三造は逃げ出し、故郷へ帰ろうとする途中で崖から転落して死亡したのだった。河野は、三造に罪をなすりつけ、札束を手に入れて、長吉と合流しようとしていた。河野の話を聞いた「私」は、これらのことを秘密にしておく事を約束する。
数年後、私は河野から手紙をもらう。手紙には長吉が死亡したことと、河野が南洋の島に旅立つことなどが書かれていた。こうして事件は終わるが、ただ一つ、ここにある重大な疑問が残された。もし「私」の想像が当たっているとすれば、殺人者をゆえなく見逃がしたことになるのだった。
主要登場人物
- 「私」
- 本作品の語り手。レンズ狂で覗き趣味を持つ。
- 河野
- 「私」と同じく湖畔亭に投宿していた。探偵趣味を持つ。
- 長吉
- 湖畔亭に呼ばれた芸者。「私」にレンズ越しに殺害現場を目撃される。
- 三造
- 湖畔亭の風呂焚。
収録作品
映像化リスト
テレビドラマ
脚注
出典
外部リンク
- 湖畔亭事件のページへのリンク

 
                             
                    







