毒草 (江戸川乱歩)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/20 08:52 UTC 版)
概要
1926年(大正15年)1月、『探偵文藝』に掲載された。乱歩曰く「この作には貧乏人の悲惨が描かれているので、現社会制度への批判のようなものが感じられ、それが好評の一因となったのかもしれない。その点で、私の別の短篇『芋虫』が左翼方面から好評を受けたのと共通したものがある。しかし、私はそういう気持で書いたものではなかった。犯罪[注釈 1]としての堕胎の恐怖を描こうとしたにすぎなかった。」[1]
あらすじ
「私」と友人は散歩中に、ある丘の小川の側のじめついた所に生えていた植物に気がついた。それはどこにでも生えていて、別に毒草という訳でもないが、この植物は堕胎の妙薬だった。友人へ植物の説明していると背後に気配がして、振り返ると一人の妊婦がつっ立っていたのである。その女は「私」の家のすぐ裏に住んでいる、貧乏で子だくさんの老郵便配達夫一家の女房だった。
それから数日のち、彼女にまた出逢ってしまった。彼女のお腹はペチャンコになっていた。それから一月ばかりたったある日のこと、今月だけで一町内で三人も流産があったと噂を聞く。もう一度例の丘の所へ行ってみると、その植物はどの茎も半分位の所から折り取られていた。
収録作品
脚注
注釈
- ^ 戦前は堕胎は犯罪だった。
→詳細は「人工妊娠中絶 § 日本の状況」を参照
出典
- ^ ちくま文庫の自作解説より
外部リンク
- 毒草_(江戸川乱歩)のページへのリンク