一人二役 (江戸川乱歩)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/25 15:46 UTC 版)
『一人二役』(ひとりふたやく)は、江戸川乱歩が発表した短編小説。
概要
1925年(大正14年)9月、『新小説』に掲載された。乱歩の好きな一人二役もの。乱歩曰く「もっと長く書けば面白い小説ができたのではないかと、われながらもったいないように感じたことであった」[1]。
あらすじ
語り手の知人であるTという男は遊民であり、時間を持て余していた。Tには妻がいて、夫婦関係は悪くはないが女性関係が激しかった。Tは退屈しのぎとして、別の男のフリをして妻に近づいて行く。だが、妻はその男に惹かれるようになり、Tは自分自身の架空の人物に嫉妬するようになる。そして妻と別れ、架空の男として妻と同棲することになった。
それからしばらくして、語り手は別人として生きるTに偶然出会う。彼は例の妻を同伴していたので言葉をかけては悪いと、何気なく通り過ぎようとすると、意外にも声をかけてきたのはTの方だった。そしてTが語るには、妻はTの悪戯に最初から気づいて、だまされた様なていを装っていたのだそうだ。結果家庭が円満になり、仲睦むつまじくなったと語る。
収録作品
映像化
「RAMPO WORLD」
乱歩没後60周年記念作品「RAMPO WORLD」として、『3つのグノシエンヌ』(原作は一人二役)、『蟲』、『白昼夢』の3作品が2025年10月3日から東京・シネマート新宿、池袋シネマロサほかで順次公開される。『3つのグノシエンヌ』は10月3日公開予定[2]。
脚注
- ^ ちくま文庫の自作解説より
- ^ “江戸川乱歩原案の映画3作品を連続公開「RAMPO WORLD」主演は松田凌・平埜生成・見津賢”. ステージナタリー (2025年7月28日). 2025年9月3日閲覧。
外部リンク
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