覆面の舞踏者
覆面の舞踏者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/20 09:05 UTC 版)
『覆面の舞踏者』(ふくめんのぶとうしゃ)は、江戸川乱歩が発表した短編小説。
概要
1926年(大正15年)1~2月、新潮社の『婦人の国』に掲載された。大正14年の末に上京したときに注文を受け、長野県の温泉で前半を、大阪市外の自宅に帰って後半を書いたそうである[1]。
あらすじ
「私」は、友人である井上次郎から誘いを受け、富豪の井関が主催する「覆面舞踏会」に参加する。参加者は皆、仮装と覆面で互いの正体を隠し、声を発することも禁じられている。やがて世話人が現れ、参加者に配られた番号札によって男性17人、女性17人がそれぞれ番号によってペアを組むよう指示が出された。部屋の照明が落とされ、番号の同じ男女がペアとなり、ダンスを踊りだす。「私」の相手となった女性は、初対面のはずなのにどこか知っているような感覚を覚えた。ダンスの後には隣室で酒宴が催され、参加者たちは覆面の下から酒を飲み交わす。酔いが回るにつれて、場の空気はさらに混沌としていった。
酔いと興奮の中で、「私」は記憶が定かではなくなり、気がつくと見知らぬ部屋のベッドで目覚めた。枕元には一枚の紙があり、そこには「私」を非難する走り書きがしてあった。手紙の主は井上の妻、春子だった。しかし世話人の井関は、夫婦同士がペアになるように、同じ番号札を渡したと語っていた。なぜ取違いが発生したのか。番号札を確認すると「十七」と記載されていた。「私」は1と7とを間違えて、十一番と呼ばれた時に返事をしたのだった。そして井上までがその番号を間違えたのだった。
収録作品
脚注
出典
- ^ ちくま文庫の自作解説より
外部リンク
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