ぺてん師と空気男とは? わかりやすく解説

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ぺてん師と空気男

作者江戸川乱歩

収載図書影男・ぺてん師と空気男
出版社角川書店
刊行年月1987.10
シリーズ名角川文庫

収載図書堀越捜査一課長殿
出版社講談社
刊行年月1989.2
シリーズ名江戸川乱歩推理文庫

収載図書双生児
出版社角川書店
刊行年月1999.8
シリーズ名角川ホラー文庫

収載図書ぺてん師と空気男―江戸川乱歩全集 第22巻
出版社光文社
刊行年月2005.9
シリーズ名光文社文庫


ぺてん師と空気男

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/28 08:20 UTC 版)

ぺてん師と空気男』(ぺてんしとくうきおとこ)は、江戸川乱歩が発表した長編探偵小説

概要

1959年(昭和34年)に、桃源社から『書き下し推理小説全集』第一巻として刊行された。児童向け作品以外では乱歩最後の長編作品となる。空気男と渾名されている主人公と、プラクティカル・ジョークが好きなぺてん師のような不思議な男が事件に巻き込まれていく話である。空気男とは、鳥羽造船所時代の健忘症の同僚に、乱歩が命名した渾名である[1]

乱歩は「そのころ西洋のプラクティカル・ジョーカーの逸話集のようなものを愛読していたので、その実例なども取り入れて、この一篇を書きあげた。『空気男』の方は大正十五年『写真報知』に連載しはじめて間もなく、同誌が廃刊になったのでそのまま中絶していたのだが、その同じ主人公をこの書き下しに登場させた」とのこと[2]。前作の空気男と本作の空気男はあだ名が同じというだけで直接には関係がない。[3]

あらすじ

戦前の話。物忘れが激しいため、空気男とあだ名されている野間五郎は、ある日、列車で不思議な男に出会った。その男は本を読んでいたが、そこには何も書かれていなかった。興味を引かれた野間は、その男に話しかけてみた。その男は白紙の本と印刷された本の2冊を使って、周囲の人を驚かせていた。男の名前は伊東錬太朗といい、「プラクティカル・ジョーク」といういたずらを愛好している人物だった。意気投合した野間と伊東は、見知らぬ人々にプラクティカルジョークを仕掛けるようになる。また伊東は、同じ趣味を持つ数名の同士とジョーカークラブを開いていて、野間もこの会合に参加するようになる。 

伊東には、美耶子という妻がいた。野間は伊東の家に入り浸っているうちに、美耶子に恋心を抱く。伊東が遠方へ出掛けて留守にしたある日、野間は美耶子をアパートに招く。そして気付くと、いつの間にか激怒した伊東がおり、伊東は美耶子を連れて帰る。その後、伊東は美耶子を全く家の外へ出さず、また誰にも会おうとしない。美耶子の様子が全く分からず心配した野間は、プラクティカル・ジョーク仲間の酒巻と共に伊東の家を訪ねる。伊東は、家の地下室の水漏れを補修していると言い、地下室の床をコンクリートで埋める作業をしていた。二人は美耶子が殺されて埋められたと考え、地下室の床を掘り返す。すると出てきたのは、マネキン人形だった。そして背後には、いつの間にか美耶子が立っていた。二人は、伊東のプラクティカル・ジョークだった事を悟り、家を離れる。

それから約2か月後、伊東は突然引っ越してしまう。野間はあの時会った美耶子は偽物で、本物の美耶子は殺されて地下室の床下のマネキン人形よりも下に埋められたのではないかと推理する。美耶子のことが心配になった野間と酒巻の二人は、かつての事件の真相を確かめるために伊東の旧宅を訪れる。床下を掘り返してみたものの、そこには何もなかった。やがて戦争が激しくなり、野間は疎開、その後徴兵される。

戦後、新聞記者となった野間は、宇宙神秘教という新興宗教の取材に訪れた。そこで再会したのは、教祖となっていた伊東と美耶子だった。伊東から、地下室の件は一世一代のジョークだった事を聞き和解する。別れ際には、野間は伊東に対して尊敬の念を抱いていた。

主要登場人物

野間五郎
本作の語り手で、空気男と渾名されている。
伊東錬太朗
プラクティカル・ジョークの名手でメフィストのような風貌の男。
伊東美耶子
錬太朗の細君。
酒巻
下町の料理屋主人でジョーカークラブの会員。

収録作品

  • 光文社文庫『江戸川乱歩全集 第22巻 ぺてん師と空気男』(2005年9月)

脚注

出典

  1. ^ 空気男の作品解説より
  2. ^ 河出文庫の自作解説より
  3. ^ 江戸川乱歩全集の中島河太郎による解題


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