空気男
空気男
空気男
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/28 09:10 UTC 版)
『空気男』(くうきおとこ)は、江戸川乱歩が発表した未完の探偵小説。
概要
1926年(大正15年)に、報知新聞社の旬刊誌『写真報知』に掲載された。初出時のタイトルは『二人の探偵小説家』。空気男とは、鳥羽造船所時代の健忘症の同僚に、乱歩が命名した渾名である[1]。『写真報知』に連載しはじめて間もなく、同誌が廃刊になったのでそのまま中絶した長篇小説の前半である。「いつか機会があったら、書きつぎたいと思っている」とあとがきで語っているが結局続きは書かれなかった。そのかわり、『ぺてん師と空気男』で同じ主人公を登場させている[2]。今作の空気男と次作の空気男は渾名が同じというだけで直接には関係がない[3]。
あらすじ
北村五郎と柴野金十は偶然知り合い、お互いの趣味趣向が一致したため意気投合する。探偵小説が好きな二人はそれぞれ作家として文壇デビューする。一躍人気作家になった退屈屋の二人は、お互いの筆名を取り換えて作品を発表したり、勝手に外国作家の名前を創作して、翻訳して発表するなど悪戯を始めたが、彼等の悪だくみを看破したものはいなかった。
ある日のこと、柴野金十が北村五郎に、新しい筋の探偵小説を書くつもりだと話す。だがその話は、北村が柴野に以前話した筋だった。指摘されるまで忘れていた柴野は、北村に『空気男』と渾名を付けられる。
一方で、柴野の知合いである河口という挿絵画家の身の上に、不思議な事件が起っていた。河口は最近前妻である芳子を失って、お琴と同棲していたが、真夜中に芳子の幽霊を見たとお琴が騒ぎだした。芳子は、この話の一月ばかり前に睡眠剤の分量を誤り、不意の死にあった。もし幽霊というものがあるとしたら、芳子がその幽霊になって、彼等へ恨みを述べに来るというのは至極当然のことであった。河口は、もっと恐れなければならぬ、ある秘密を持っていた。
収録作品
脚注
出典
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