法務省・検察庁
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 07:09 UTC 版)
「キャリア (国家公務員)」の記事における「法務省・検察庁」の解説
近年では、総合職職員として30~34名程度採用されている。法務省は、防衛省の自衛官と厚生労働省の医系技官と同様に、幹部人事に他府省と異なる慣行が確立されている官庁である。法務省において幹部候補として処遇される職員には、国家総合職試験合格者から法務省に採用された者の他に、司法試験合格者である検察官及び裁判官で、法務省に勤務する検事(ただし、裁判官は法務省に出向する際は検事に転官する)が存在しており、検事は、国家総合職採用者に比べ優位な地位に立っている現状にある。 ただし、検事の場合、法務省の幹部候補として歩むことが予定された者が一期あたり4~5名程度存在するとされ、通常の検事とは異なるキャリアパスを歩む(法務省本省での勤務、海外留学、在外公館勤務が多い等)傾向にある。大半の検事は、退官まで検察庁の現場で働くこととなるため、検事全員が他府省におけるキャリア組と同様に位置付けられているとは、必ずしも言えない。また、キャリア組類似の人事配置についても、あくまで流動的になされており、法務省勤務の勤務も機会も上記の者にのみ限定されている訳ではない。 法務本省の要職の多くは、検事(裁判官からの転官者を含む)で占められ、国家総合職採用者が本省の局長になるケースは例外的である。法務省では、事務次官は検事総長を頂点とする検察庁のピラミッドの一過程として位置づけられており、刑事局長を経験した検事が法務事務次官、次長検事、東京高等検察庁検事長等の要職を経て、検事総長あるいは最高裁判所判事に至るのが出世コースとされている。このように法務省人事は、実質上検察庁と一体的に運用されている。 国家総合職採用の事務官は、伝統的に、本省局長となれる可能性は低く、事務次官となった者は過去にいないなど、他省庁のキャリアに比べると不遇とされてきた。ただし、近年では国家総合職採用者の処遇が向上しており、これまでに、出入国在留管理庁長官1名(2019年就任)、矯正局長4名(2016、2018、2020、2021年就任)、保護局長2名(2019、2021年就任)、人権擁護局長1名(2017年就任)及び入国管理局長3名(2006、2011、2019年就任)が、本省局長級(指定職4号俸)以上のポストに就任している。(うち矯正局長1名(2018年就任)と人権擁護局長1名(2017年就任)および出入国在留管理庁長官1名と入国管理局長1名(2019年就任)はそれぞれ同一人物である。)。この他に検事出身・事務系キャリア出身以外に、ノンキャリア組刑務官出身の矯正局長1名(2013年就任)がいる。一方で採用数が少ないことから、出世レースは、他省庁ほど激しいものではなく、ほぼ全員が本省課長級から審議官・管区局長級(指定職1号以上)まで出世でき、強制的に天下りさせられることもないので、安定性は他省庁よりも高いと言える。 法務省は局ごとの縦割り意識が強く、国家総合職採用者の人事も、民事局 - 法務局、矯正局 - 矯正管区、保護局 - 地方更生保護委員会、入国管理局 - 地方入国管理局と、局別に縦割りで行われている(総務省や厚生労働省などの省庁再編に起因する縦割り行政ではなく、霞が関最古参の省の一つで、100年以上大きな組織改編もなく存続したことにより、各組織が細分化したことや、出自に違いがあること(例: 入国管理局が外務省から移管されたものである等)に起因するとみられている)ただし、形式上は、省として一括した採用が行われている。
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