法務省による見解
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/10 09:33 UTC 版)
一方、第78代法務大臣であった長勢甚遠は、2007年5月の衆議院法務委員会において「有罪になった方が実は無実であったというケースが一般的に冤罪と言われているのではないか」「〔志布志事件のように〕被告人が無罪になったときも冤罪と言うのは、一般的ではないのではないか」との見解を述べている。また、第80代法相の鳩山邦夫も、冤罪を「人違いで逮捕され、裁判中や服役後に真犯人が現われたケース」と定義付ける立場から、法務省での2008年2月の会合の場で「志布志事件は冤罪と呼ぶべきではない」との発言を行った。これを志布志事件の元被告人らから批判された鳩山は直後に謝罪を行い、「この全く意味の不確定な冤罪という言葉」を以後公式の場では一切用いない、との考えを述べた。 しかし、その後も第88代法相の平岡秀夫は、障害者郵便制度悪用事件での被告人だった村木厚子に対する無罪判決につき、「有罪判決を受けていないという意味では、冤罪に該当しない」と、2011年11月の記者会見においてコメントしている。また同時期には法務省も、冤罪の定義を「真犯人ではない者に対する有罪判決が確定するなどの事態を念頭に置いて用いた」報告書を公表している。 しかし、さらに翌2012年11月の東電OL殺人事件再審無罪判決直後、第90代法相の滝実は記者会見で、「刑事局の立場からすると冤罪というのは、厳密な定義の上でなければ冤罪かどうかの判断というのを軽々に言葉で表すことができない」としながらも、「常識的に世間一般の感覚から冤罪を広くとって言えば、本来罪になる必要がないものが罪になったという意味では冤罪と言えないこともない」とも述べている。
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