治療計画
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/01/25 08:25 UTC 版)
通常CTの画像を基本として治療計画が行なわれる。 頭蓋内病変の治療機では、全ての組織を水等価物質として扱い単純な線量分布計算アルゴリズムを用いた計画装置もあり、実際に運用して問題が起きることもなかった。しかし、定位照射の適応が体幹部へ広がり、肺内病変などでは、不均質補正の有無により、MUが増減する、また、従来使用されてきたクラークソン法と現在主流になりつつあるSuperposition法(あるいはMonte Carlo法)とでは、同一の照射でも肺の線量計算結果が異なる、といった問題が起こり、投与線量・線量制約を考慮・策定する上で懸案となっている。 腫瘍などの標的の輪郭決定において、従来よりもより高い精度が求められる。このため、必要に応じて、基本となるCT画像にMRIやPETの画像を重ね合わせて(フュージョンして)、輪郭決定を行なう。画像を重ね合わせる精度が重要になることは言うまでもないが、MRIでは画像のゆがみやシフト、PETでは陽電子の飛呈やカウントリカバリーなどを考慮に入れた上で、輪郭の描画を行なう必要がある。また、呼吸などの生理的な運動を伴う標的の輪郭決定は4D-CTなどを用いて行なうか、あるいは迎撃照射など照射法に応じた輪郭描記を行なう。 通常の治療計画であれば、ビームの設定をフォワードプラニングで行なう。危険臓器の線量制約を満たし、標的に十分な線量が照射されるようにビームを設定する。対して、サイバーナイフやトモセラピーでは、ビームの設定をインバースプラニングで行なう。あらかじめ標的への最小線量、危険臓器の最大線量を入力しておき、無数のビーム方向とビーム強度の最適化計算をさせる。サイバーナイフでは、Simplex linear programming法が用いられ、計算機が導出した結果に対して、手動で微調整を加えることが可能である(線量の安定しない低MUのビームを削る、など)。
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治療計画
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 09:53 UTC 版)
51門のビームの64枚のMLCの開時間を手動で設定して、最適な線量分布を得ることは、はなはだ困難である。このため、治療計画には逆方向解決法(インバースプラニング)が用いられる。治療計画時の線量計算アルゴリズムはconvolution/superpositionであり、治療計画用CTのCT値から変換された物理密度(電子密度ではない)が計算に利用される。最適化の計算中に極めて多数のビームが使用される可能性があるため、最適化に先立ちビームレットの計算を行い、それに引き続いて計画を立てる形で、治療計画作成の効率化が図られてきた。 現在ではVoLO (VoxelLess Optimization) という手法が開発され、GPUを用いた並列計算により劇的に計算速度が向上し、計画者はほとんど待ち時間なしに計画作成を開始し遂行できる。 トモセラピーの治療計画装置のユニークな点として、各施設の治療機に固有のビームデータをあらかじめ入力しておく必要がないことである。治療計画装置にはすでにビームデータが入力されており、そのビームデータに合うように治療機のパラメータを調節するのである。 このため、治療機の故障で部品を交換した場合でも、治療計画を変更せず治療を続行できる。 また、ある危険臓器の目標とするDose-Volume(30Gyが30%など)およびそのpenalty(最適化の計算時の重み付けの数値)を入力し、最適化を始めると、DVHカーブが計算の進行に従って変化していくのだが、トモセラピーの治療計画装置では、計算を途中で止め、Dose-Volumeやpenaltyを変更することが可能である。各危険臓器や標的のDVHカーブの動きを注視しながら、インバースプラニングに介入して、計画を完成させるのである。
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