治療薬選択の大まかな考え方
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 19:12 UTC 版)
「高血圧治療薬」の記事における「治療薬選択の大まかな考え方」の解説
アドヒアランス向上のため原則としては1日1回投与のものを選ぶ。 降圧薬の投与量は低用量から開始する。 低用量から高用量への増加よりもシナジーを期待して併用療法を行った方が効果が高いと考えられている。 II度以上(160/100mmHg 以上)の高血圧では最初から併用療法を考慮する。 併用法としてはRA系抑制薬とCa拮抗薬、RA系抑制薬と利尿薬、Ca拮抗薬と利尿薬、βブロッカーとCa拮抗薬などがあげられる。 最初に投与した降圧薬で降圧効果が得られなければ作用機序の異なる降圧薬に変更する。 高血圧の薬物治療は通常、単剤あるいは低用量の2剤から開始され、降圧作用が不十分な場合には用量の増大か多剤への変更、異なる作用機序を持つ降圧薬との併用療法などが行われる。 また、一概に高血圧治療薬といっても多くの種類が存在し、これらの作用機序・薬効・薬価は様々である。高血圧の初期薬物治療においてどのような薬物を用いるかは大規模な臨床試験の結果やガイドラインに沿って行われる。高血圧の診療ガイドラインはWHO/ISH(国際高血圧学会)によるものと米国のJNC7が国際的に主流であり、JNC7では利尿薬#チアジド系利尿薬が他のグループと比較して安価で大きな治療効果が得られることから、その使用が推奨されているが、治療薬は個々の患者の病歴や合併症の有無などを考慮した上で選択されるべきである。日本においても日本高血圧学会による高血圧治療ガイドラインが2004年に作成されており(JSH2004)、2009年1月に改訂版(JSH2009)、2014年2月に改訂版(JSH2014)が発行された。国際ガイドラインは欧米での臨床試験をもとに作成されているため、日本人の高血圧治療に当てはめるには不向きな点もあるが、新ガイドラインであるJSH2009ではCASE-J試験やJIKEI-Heart試験、JATOS試験等の国内の臨床試験のデータがエビデンスとして盛り込まれた。 また、高血圧の患者では薬物を長期に渡って服用することになり、降圧薬の併用に加えて合併症に対する治療薬も数多く処方され結果として10種類を超えるような薬剤を服用している場合も少なくない。ADVANCE試験により合剤の有用性が示され、日本においてもARBと利尿薬の合剤が認可されている。このような複雑な処方を受けている患者に対して合剤を用い、少しでも薬の種類を少なくすることがアドヒアランスの改善に結びつくと考えられている。
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